みなさま、こんにちは。
今回は、ネコちゃんのトイレと排尿障害についてのお話をしたいと思います。
寒くなると増えてくるネコちゃんの排尿障害
最近、急激に寒くなってきましたね。
冬になると増える傾向がある病気の一つに排尿障害があります。
そして、ネコで排尿障害を起こす病気としては膀胱炎が最もよく知られています。
この膀胱炎を起こす要因として内的要因と外的要因が存在すると考えられています。
外的要因には生活環境、食事、そしてトイレが含まれています。
すなわち、トイレの環境を適切に整備してあげることで膀胱炎の予防・治療につながるのです。
ネコちゃんにとって理想的なトイレ環境は?
では、ネコちゃんにとって適切なトイレとはどんなものでしょうか。
答えは『公園の砂場のような場所』です。
つまり、
・十分な広さがある
→体長の1.5倍以上が望ましい。
・遮蔽物に覆われていない
→ドームに覆われているタイプのトイレを使用している場合、可能ならドームは外すことが望ましい。
・十分な量の砂があり、排泄物の痕跡をきちんと隠せる
→砂をたくさん掻いてもトイレの底がみえないくらいの量が必要。
この条件を満たしてやる必要があります。
これが満たされていないトイレを使用していると、トイレ以外の場所での不適切な排尿が増えたり、排尿を我慢することによって膀胱炎を発生させてしまいます。
ネコちゃんのトイレ環境で気をつけたいポイント
また、次のような点にも気をつける必要があります。
・多頭飼育の場合、トイレはネコちゃんの数+1つ以上用意する
→それぞれの専用トイレがあることが望ましい。
ただし、飼育頭数が多く設置数に限界がある場合は、ネコちゃんのグループ数+1つ以上の設置が望ましい。
・砂の材質はネコちゃんの好みに合わせて選択する
→鉱物系、木材系、紙系などさまざまな種類があるが鉱物系を好む傾向にある。
ただし、好みが別れるのでケースバイケースで選択する。
・トイレはネコちゃんが落ち着く場所に設置する
→人の出入りが激しいドア付近の設置は避けるべき。
また、家電の近くに設置すると急な音や振動、光などの意図しない刺激が発生する可能性があるので避けるべきである。
いかがでしょうか。
ご自宅のトイレの設置状況を振り返ってみて、これらの条件を満たしているでしょうか。
さらに、不適切なトイレの整備は排尿障害だけではなく、トイレ以外の場所での排尿の常習化という問題行動を誘発する可能性もあります。
排尿障害、問題行動のいずれについてもトイレの整備を含めた外的要因を適切に管理する必要があります。
冬本番になると診察件数が増える排尿障害ですが、トイレの整備という取り組みやすいところから病気の予防になってくれると幸いです。
文責:獣医師 小川