みなさま、こんにちは。
今回はレプトスピラ症のお話をしていきたいと思います。
レプトスピラ症ってどんな病気?
レプトスピラ症は、病原性レプトスピラ感染による細菌性人獣共通感染症です。
自然界での保菌動物はネズミなどの野生動物で、これらの動物の尿に含まれるレプトスピラに汚染された土壌や水に接触し経皮感染を起こします。
体内に侵入したレプトスピラは初期は血液中で検出されますが、やがて腎臓や肝臓で増殖しその結果、肝不全や腎不全を引き起こします。
また、治療が成功しても数ヶ月の間は尿中にレプトスピラが排出されるため、新たな感染源になる可能性もあります。
レプトスピラ症に罹っているか確認する方法は?
次はレプトスピラ症の診断及び治療についてです。
診断は、急性の腎臓腫大など臨床的にレプトスピラ症の疑いがある症例の血液を用いてPCR法などにより判断します。
レプトスピラ症は治療できるの?
病態初期であれば抗生剤の長期連続投与で対応しますが、多くの症例は腎不全や肝不全に陥っており治療反応に乏しいケースも多いです。
ワクチンでのレプトスピラ症予防について
では、今回のメインの話題であるレプトスピラ症の予防とワクチンの関係について解説していきます。
ワンちゃんのワクチンを実施する際、〇〇種混合ワクチンという単語を耳にされたことがある方が多いかと思います。
実際に僕も診察時に質問されてお答えする機会が多い話題です。
この混合ワクチンの内訳ですが、接種が推奨されている5種+レプトスピラ症の血清型がいくつ入っているかで決まっています。
現在、当院で取り扱っている犬のワクチンは5種と7種ですが、これらを例にすると次のような内容になります。
・犬ジステンパー
・犬伝染性肝炎
・犬アデノウイルス2型感染症
・犬パルボウイルス感染症
・犬パラインフルエンザウイルス感染症
・犬ジステンパー
・犬伝染性肝炎
・犬アデノウイルス2型感染症
・犬パルボウイルス感染症
・犬パラインフルエンザウイルス感染症
・犬レプトスピラ症イクテロヘモラジー型
・犬レプトスピラ症カニコーラ型
これら以外にも8種以上の混合ワクチンも流通していますが、これは他のレプトスピラ症の血清型が含まれているタイプです。
何種類のレプトスピラの血清型が含まれていれば良いかという明確な規定は現在のところ設けられていません。
当院では日本国内での発生報告のうち割合の多い2型が含まれている7種混合ワクチンを使用してレプトスピラ症の予防に努めています。
何種の混合ワクチンを接種すべき?
実際に5種と7種の選択をする際に僕自身が基準としているのは、ワンちゃんが完全室内飼育かどうかです。
前述した通り、レプトスピラ症は保菌動物の尿によって伝播する感染症です。
つまり、少しでも屋外に出て保菌動物の尿とコンタクトを取る可能性のあるワンちゃんについては7種混合ワクチンの接種をしていただくようにお話ししています。
今後、5種と7種以外のワクチンを取り扱うかどうかは疾病の発生状況により検討したいと考えています。
いかがでしょうか。
今回は人獣共通感染症であるレプトスピラ症についてのお話をしました。
とくに、ワクチンに関しては飼い主さんにとって身近な話題にもかかわらず周知されていない情報が多いと感じます。
ワンちゃんのワクチンの種類や接種に関して疑問がございましたら獣医師にお尋ねください。
文責:獣医師 小川