ワンちゃんの耳について

みなさま、こんにちは。

今回はワンちゃんの耳についてのお話をしたいと思います。

暑い時期は耳のトラブルにご注意!

気温と湿度が上昇するこの時期、皮膚疾患と同時に増えてくるのが耳のトラブルです。

・掻いている
・擦って腫れている
・臭いがする
・汚れが目立つ etc…

このように耳のトラブルは飼い主さんが認識しやすいので、僕たちも診察・治療する機会がとても多いです。

そこで今回は、ワンちゃんの耳について知っておいてほしい知識を解説し、耳のケアやチェックをする飼い主さんの手助けになればと考えています。

ワンちゃんの耳の構造について

まずは耳の構造です。

ワンちゃんの耳はヒトとは異なり、耳道がL字型になっています。

これをそれぞれ垂直耳道と水平耳道といい、この部分までを外耳といいます。

水平耳道を超えると鼓膜があり、その先には耳小骨と鼓室があり、ここを中耳といいます。

さらに奥には蝸牛、三半規管、神経があり、ここを内耳と言います。

この時期に増えて、僕たちが最も遭遇するのが外耳炎、すなわち耳道の炎症を伴ったトラブルを表します。

外耳炎には様々な原因があり、代表的なものとして、

・アレルギー性皮膚炎に続発する外耳炎

・外傷や異物に起因する外耳炎

・マラセチア性外耳炎

・細菌性外耳炎

などが挙げられます。

いずれにしても、外耳炎に対する治療の基本は『徹底的な洗浄』と『適切なステロイドの使用』です。

実際に、僕が外耳炎を診断した際も、しっかりと耳道を洗浄し、適切な点耳薬もしくは内服薬を使用して治療するケースが多いです。

しかし、膿を伴って炎症している場合や、外耳炎がひどくなり中耳炎を続発しているケースでは、ステロイドの適用外となるため、適切な抗生剤の使用や場合によっては鎮静下での洗浄等が必要になります。

自宅で出来るワンちゃんの耳のケアは?

次に、自宅での耳のケアについてお話します。

前述したように、ワンちゃんの耳は立体的な構造をしており、目視で見えるのは耳介と外耳の入り口部分だけです。

自宅で耳のチェックをする際は、次のポイントを意識してみてください。

・日頃から耳を掻いたり擦ったりしていないか

・耳からいつもと違う臭いがしていないか

・目視できる範囲に大量の耳垢がないか

・耳から膿が出ていないか

・耳(とくに耳道の部分)を触ると痛がったり、怒ったりしないか

・頭を振ったり、耳が下がったりしていないか

とくに常に耳が垂れている犬種の場合は、めくって確認しないと見えないので、1日1回はめくってチェックするようにしてください。

おうちでの耳のケアで綿棒はNG!?

日常的な耳のケアをする際のポイントを紹介します。

まず、僕が飼い主さん全員にお伝えしているのは、

『綿棒を耳に入れないでください。』

です。

綿棒を垂直耳道に入れて操作すると耳道の壁を擦ってしまい、かえって炎症を誘発する可能性があります。

また、急にワンちゃんが暴れると余計に耳道に対する傷害が増えてしまいます。

本来、耳は汚れを外に排出する能力を持っているので、何もせずとも汚れは外に出てきます。

もし、汚れを拭き取りたい場合は、コットンにお湯を染み込ませて、見える範囲のふき取りのみに限定してください。

このふき取りを実施している際に、前述のような変化に気づいたら速やかに動物病院を受診してください。

いかがでしょうか。

今回はワンちゃんの耳のお話をしました。

耳の構造を理解しておくと病気のイメージがしやすくなります。

耳をチェックして違和感を感じた場合は、ひどくならないうちに診察にいらしてください。

文責:獣医師 小川