みなさま、こんにちは。
『エビデンス』最近よく聞きますね。
新型コロナウイルスに関する報道等で多用されているエビデンスという言葉。
僕たち臨床獣医師にとっても診療を組み立てる上で非常に重要な要素です。
では、この『エビデンス』とはそもそも何?ということについてお話ししたいと思います。
Evidence・・・証拠、根拠
辞書を引くとこんな意味が出てきます。
僕たちが使用する場合、『診療する際にその治療をおこなう根拠』という意味で使っています。
では、どのようにしてその根拠を決めているのか。
また、エビデンスのレベルってなんなのか。
※Minds診療ガイドライン作成の手引き2014より引用
こんな感じです。
はい、カタカナが多くて難しいですね。
エビデンスレベルはⅠが最も強く、Ⅵが最も弱いという順番です。
ここで注意したいのが、このエビデンスレベルは研究の分類による結論の強さの一般的傾向を順位付したものだということです。難しいですね。
つまり、エビデンスレベルがⅠだから確信をもって推奨できる、というわけではなく様々な要因を総合的に判断する必要がある、ということです。
例えば、研究デザインはとても良くても海外の報告しかなくて、日本とは飼育犬種が全く異なる場合(ヒトなら人種が異なる場合)、遺伝的な違いにより日本国内では当てはまらないというケースが発生します。
逆に、エビデンスレベルの高い研究がないからといって、その知見が信頼できないわけではありません。僕も実際に専門医の個人的な意見(エビデンスレベルⅥ)を参考にして診療を組み立てることがあります。
少し長くなりましたが、僕たち臨床獣医師にとってはエビデンスレベルが高い研究結果を推奨できるならする。しかし、必ずしもそれがすべてではない、というイメージです。
『その子その子の診療を組み立てる上で、エビデンスに基づいた治療を提供するのは大事、けれどエビデンスレベルが高いものが必ずしもその子にとっての正解とは限らない。』
まとめるとこうなります。
今日はエビデンスってなに?というお話でした。
使用する状況によって若干ニュアンスは異なるのですが、獣医療の現場で使う際のイメージをお伝えさせていただきました。
エビデンスに基づいた治療をするが、エビデンスのみに振り回されずにきちんと個々の症例を診る・・・
基本中の基本ながらもとても重要なことなので、僕たちも常にここに立ち返り日々の診療を行わないといけませんね。
文責:獣医師 小川