肥満について③ダイエット

みなさま、こんにちは。
本日は、いよいよダイエットの方法についてお話しさせていただきたいと思います。
とはいえ、何も特別なことはしません。
ごく当たり前のことを毎日根気よく続けるのみです。
何をするか?適切な食事制限です。

「最近お散歩に行けてないから、運動不足で太ったのかしら?」
よく聞かれます。本当によく聞かれます。
ですが、これはほぼあり得ないです。
確かに、運動をすることで筋肉を維持することは非常に重要です。
ですが、散歩等の運動によるカロリー消費だけで体重を落とすのは非常に困難です。
やはり重要になってくるのが食事制限です。
ダイエットを考えており、食事制限をするケースとして様々なパターンが想定されるので順番に解説していきたいと思います。
① 食事量が決まっておらず、おやつや人間の食べ物を食べているケース
肥満の子の多くはここに該当します。
まずはおやつと人間の食べ物を与えるのをやめましょう。
そして、一日に食べる食事の量(グラム数)を決めましょう。
食事量はBCSに基づいた適正体重で決定しますので一度獣医師にご相談ください
今までおやつを食べる習慣があり、それをやめることが困難な場合はおやつの代わりにフードを与えるようにしてください。
一日の総摂取カロリーを決めてしまえば、そのなかでどのように分割するかは飼い主さんの自由にしていただいて構いません。
② 食事量は決まっているが、おやつや人間の食べ物を食べているケース
このパターンも非常に多く目にします。
やることは①と同様で、まずはBCSに基づいた食事量を決めます。
次に、おやつと人間の食べ物を与えるのをやめましょう。
また、おやつをあげていると一括りにしてみても様々な状況があります。
中でも多いのが、ご家族の誰かがこっそりおやつを与えているパターンです。
普段、病院に来ていただいている飼い主さんは獣医師が直接指導をするのでダイエットの重要性を十分認識して頂けるのですが、他のご家族に中々伝わりづらいことがあります。
ご家族全員で情報を共有しダイエットへ意識を向けられるようにしましょう。
③ 食事量は決まっており、おやつも人間の食べ物も与えていないケース
このパターンで厄介なのが決めている食事量が多すぎる場合です。
いくら食事量を決めていても、その量が必要量を上回っている場合、ダイエットは進みません。
BCSに基づいた一日の食事量を設定して体重の推移を観察しましょう。
④ 適切な食事量を設定し、おやつも人間の食べ物も与えていない場合
このパターンは少し解釈が難しくなります。
一般的なフードの組成はバランスを考えて作られています。
ところが、ダイエットをしないといけない子にとって理想的な組成は高タンパク、高食物繊維、低脂肪です。
通常のフードではこれを満たせないがためにダイエットが進まないケースがあるので、その場合は減量用のフードへの切り替えを指導します。
その子の現在のBCSや目標体重等を設定して減量プログラムを決定するので、一度獣医師にご相談ください。
⑤ 減量用フードに切り替えているが体重が落ちない場合
このパターンは疾患が隠れている可能性があります。
甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症などの基礎疾患の存在が原因で体重が落ちない場合があります。
この場合は、疾患の鑑別をするために検査を進めていきます。

今回はダイエットの進め方と食事制限のパターンについてお話しさせていただきました。
最後に、ダイエットをする上で最も大事なのは、焦らないということです。
1ヶ月で劇的に体重が落ちることなどありません。
『継続は力なり』
何をするにしても、この一言に尽きますね。

文責:獣医師 小川