皮膚病シリーズ①浅在性膿皮症について

みなさま、こんにちは。
本日は夏になると増える皮膚疾患の中から浅在性膿皮症についてお話しさせていただきます。
まずは膿皮症ってなに?というところから解説していきます。
膿皮症とは、皮膚に常在している細菌(特にブドウ球菌)が増殖することで生じる皮膚疾患です。
皮膚のどの部分(あるいはどの深さ)で生じるかで症状が異なるのですが、今回はもっとも頻繁に遭遇する浅在性膿皮症についてお話しします。

表皮小環紅斑

脱毛斑丘疹

 

上のような皮膚の症状を一度は目にしたことがないでしょうか。
すべて膿皮症でみられる皮疹紅斑表皮小環脱毛斑丘疹etc)です。
表皮表面で細菌が増えれば表皮小環や紅斑、毛穴で増えれば脱毛斑や丘疹、というようにバラエティに富んだ症状をみせる病気ですが全て起こっていることは同じです。
ただし、このような症状がある=全て膿皮症ではありません
必ず他の皮膚疾患を鑑別する必要があります
鑑別の方法としては、皮表細胞診、皮膚掻爬検査、毛検査などを実施します。
この検査でブドウ球菌の増殖が確認できれば膿皮症と診断することができます。

次に、浅在性膿皮症の治療についてお話しします。
治療は主に2つの側面から実施します。
一つは適切な抗生剤の投与
もう一つはシャンプーをメインにしたスキンケアです。
僕はこの2つを組み合わせた治療プランを提案することが多いです。
しかし、最近では、膿皮症が限定的ならシャンプー療法のみで治療する、という報告も増えているので症例ごとに治療の適用を考えます。
また、治療終了のタイミングも重要です。
僕は治療を進めて、皮疹が完全に消失した日から1週間は抗生剤を飲み続けるようにお話ししています
先ほども述べたように、膿皮症は皮膚に常在している細菌の増殖が原因で起こる病気です。

ですので、見かけの症状が消えても原因となる細菌は消失することはありません。
症状が消えたと同時に内服を休止すると容易に症状が再発するので、このプラス1週間が重要になってきます。
また、同じ理由で、治療後もシャンプーをある程度続けていただくように指導することもあります。

今回は浅在性膿皮症のお話しをさせていただきました。
夏に増える皮膚疾患のうち、もっともよく遭遇する疾患でありながら容易に再発する、重症化すると治療が長期的になるなど中々厄介なヤツです。
皮膚疾患は見た目の変化が観察しやすいので、飼い主さんが発見しやすい病気です
今回お伝えしたような特徴的な皮疹、あるいは皮膚に気になる点を見つけた場合は早めに獣医師にご相談ください。

文責:獣医師 小川