理解しにくい用語①漢字編

みなさま、こんにちは。
本日は、普段僕たちが使う医療用語のうち、飼い主さんが理解しにくい又はイメージしにくいものの解説をさせていただきます。
第1弾として、理解しにくい用語〜漢字編〜を行ないます。

僕たち獣医師は、飼い主さんに病気や治療の説明をする際、可能な限り分かりやすいようにお話をするよう心がけています。
しかし、ふとした拍子に普段飼い主さんが聞き慣れないような言葉を使ってしまうことがあります(僕も多々あります、ごめんなさい・・・)。
これをやってしまうと、多くの飼い主さんは診察室を出てからこうなります。
「先生、説明する時に〇〇って言ってたけど、どういう意味なんだろう?」

最悪ですね

僕たちの仕事はもちろん、病気を診断して治療することです。
ただし、それには飼い主さんが病気と治療の意味を理解する、ということがとても重要になってきます。
にもかかわらず、獣医師は伝えた気になっているが飼い主さんにはきちんと伝わっていない、こんな状況が簡単に発生してしまうのです。
これでは良好な治療が出来ないですし、とくに治療が長期化する病気だと飼い主さんのモチベーションが保てなくなる可能性があります。

そこで今回は、僕たちが普段使う用語で、飼い主さんがイメージしにくいと考えられるものをピックアップして解説してみたいと思います。

寛解:かんかい
病気の症状が一時的に軽くなる、あるいは消失している状態。
あくまでも一時的に症状が無くなっているだけなので、完全に治っているわけではないことに注意。
再発する可能性もあるので定期的な検査が必要。

浸潤:しんじゅん
炎症細胞や腫瘍細胞が周りに広がっていくこと。
水が浸み込むように、周囲に連続性を持って広がっていくイメージ。
似た言葉に『転移』があるが、こちらは腫瘍細胞が連続性を持たない他の臓器に広がることを意味するので使い分けに注意。
イメージは、「浸潤」が周りに腫瘍細胞が染み込んでいく、「転移」が腫瘍細胞が飛び火して離れた臓器に広がる、こんな感じです。

誤嚥:ごえん
ものを食べたり飲んだりする時に飲食物が食道ではなく気管に入ってしまうこと。
期間に飲食物が入ると、体はそれを押し戻そうとして激しく咳き込みます。
また、寝たきりの子の場合、嘔吐物が気管に入ってしまうことで誤嚥を引き起こすこともあるので注意したいです。

生検:せいけん
病変の一部を針やハサミ、メスなどを用いて採取し、顕微鏡などで観察する検査です。
実施する際は鎮静や麻酔が必要な場合もあります。
正確な診断を得るために必要な検査で、結果がでるまでに数日〜数週間かかります。

化学療法:かがくりょうほう
薬を使って行なうがんの治療法のことです。
注射、内服など様々な方法で薬を投与し、体の中で増殖しているがん細胞を壊したり増殖を抑えたりします。

頓服:とんぷく
症状が出ている時あるいは強い時にのみ薬を飲む、という投与方法です。
この飲み方で症状がコントロールできない場合は、1日〇〇回飲むという投与方法に変更する可能性があります。

対症療法:たいしょうりょうほう
病気の原因を取り除くのではなく、病気によって生じている痛みや苦しみを和らげる又はなくす治療方法です。
病気の原因は存在し続けるので、対症療法の効果はあくまで一時的であることに注意する必要があります。

有害事象:ゆうがいじしょう
医薬品の使用により生じる全ての好ましくない有害な反応のことです。
有害事象には薬の作用との因果関係は関係ありません。
これと混同しやすいのが「副作用」という言葉です。
副作用は、薬の使用によって生じた反応のうち狙っていた作用(これを主作用と言います)以外の全ての作用のことを指します。
副作用は薬の使用との因果関係があり、必ずしも全てが好ましくない作用ではない点が有害事象との違いです。


有害事象:ステロイドの使用により糖尿病を発症
副作用:ステロイドの使用により低下していた食欲が意図せず上昇
こんな感じです。

既往歴:きおうれき
これまでに罹ったことのある病気や実施した手術などの記録のことです。
これから治療する病気の治療方法の選択や、現在抱えている病気を診断するための重要な材料になります。

予後:よご
今後の病状についての見通しのことです。
病気の進行度合い、治療の効果、生存できる確率などの意味を含んだ言葉です。

合併症:がっぺいしょう
ある病気が原因で生じる別の病気のことです。


糖尿病の合併症で白内障が発生

一般状態:いっぱんじょうたい
全身状態とも呼ばれ、患者の全般的な健康状態のことを意味します。
身長、体重、体格などの測定値や心拍数、呼吸数、体温、血圧などのバイタルサイン、あるいは五感を通して得られる所見をもとに判断します。

いかがでしょうか。
今回取り上げた用語以外にもイメージがしにくいものはたくさんあります。
これらの用語をなるべく伝わる形でお話しするのが僕たちの課題ですね。

今回は理解しにくい用語のうち漢字編をお話ししました。
また、別の機会でカタカナ編も行なう予定ですので、ぜひ参考にしてください。

文責:獣医師 小川