みなさま、こんにちは。
今回はワンちゃん・ネコちゃんが食べてしまうと中毒症状を引き起こす食品について解説したいと思います。
犬・猫が中毒を引き起こす食べ物
人間の生活空間にはワンちゃん・ネコちゃんにとって様々な危険が潜んでいます。
特に、食品についてはあっという間に食べてしまったり、片付けておいても探し出して食べてしまったりという事故が後を断ちません。
本日ご紹介する食品は間違いなくどのご家庭にもあるものばかりなので、保管の方法や場所を見直す機会にしていただけると幸いです。
ねぎ類(玉ねぎ、長ねぎ、ニラ、にんにく)など
これはよく知られている食品ですね。
ワンちゃん・ネコちゃんが食べてしまうと、貧血・胃腸炎・赤血球の破壊(溶血という現象です)を引き起こす成分が含まれています。
症状は、元気がなくなる・筋力の低下・赤〜褐色の尿が出るなどです。
食べてすぐに症状が出るケースもあれば、数日経過してから症状が出ることもあるので注意が必要です。
また、この成分は熱で破壊されにくいため、加熱した食品あるいは玉ねぎの味噌汁などでも症状を引き起こしてしまうことも覚えておいてください。
チョコレート、カフェイン
これも多くの飼い主さんがご存知だと思います。
ワンちゃん・ネコちゃんが食べてしまった場合、引き起こされる症状はチョコレートの種類・量によって様々です。
主に認められる症状は、嘔吐・下痢・腹痛・高体温・震え・不整脈・痙攣などです。
ミルクチョコレートなどに比べ、カカオ含有量の多いダークチョコレートなどで重篤化するケースが多いです
(最近、カカオ含有量の多いチョコレートが流行っているので注意したいですね)。
また、カフェイン入りの飲み物も同様の症状を引き起こす可能性があります。
飲みかけの飲料をワンちゃんの届く範囲に置きっぱなしにしないように注意してください。
ぶどう、レーズンで中毒を起こす犬・猫もいる
これは食べて問題の無い子と、重度の腎障害を引き起こす子がいる不思議な食品です。
症状が出る場合、認められるのは嘔吐・下痢・食欲低下・脱水・尿量の一時増加、その後減少などです。
ぶどうやレーズンを食べてしまった後に、このような症状が出た場合は必ず受診してください。
適切な対症療法を行なわないと、慢性腎臓病になったり急性腎障害で死んでしまうケースもあります。
少量のアルコールも犬・猫には危険
お酒をそのまま飲むワンちゃん・ネコちゃんはまずいないと思いますが、飲料やシロップなどに含まれる少量のアルコールには注意が必要です。
症状は、嘔吐・見当識障害(自分が置かれている状況がわからなくなりパニックに陥ることです)・高体温・過剰なパンティング(口を開けて息が荒い状態です)・震え・痙攣などがあります。
このような症状を認めた場合、対症療法を行ない症状が消失するまでは治療する必要があります。
実は危険!?キシリトールによる犬・猫の中毒
ガムやキャンディ、デンタルケア用品に使われる人工甘味料で、どのご家庭にもあるかと思います。
実はこのキシリトール、とても危険です。
ワンちゃん・ネコちゃんが食べてしまうと致死的な低血糖や肝障害を引き起こします。
症状は、嘔吐・痙攣・運動失調などがあります。
注意したいのが中毒を引き起こす摂取量で、小型犬だとキシリトールガム1個で中毒症状を起こす可能性があります。
ご家庭で起こる事故として恐ろしいのは、キシリトールガムのボトルを置いているとワンちゃんが齧って中身を食べてしまうケースです。
万が一キシリトール入りの食品を食べてしまった場合は速やかに受診してください。
生のパン生地は犬・猫が摂食後膨張し危険
これは厳密に言うと中毒を引き起こすわけではありませんが注意していただきたい食品です。
パン生地には酵母が含まれており発酵して膨らみます。
食べてしまった場合、胃の中で膨張し胃拡張や腸閉塞等を引き起こす可能性があります。
中毒・閉塞に注意!アボカド
2つの意味で注意したい食品です。
まず、アボカドの可食部を食べてしまった場合、嘔吐・下痢・呼吸困難・痙攣を引き起こす場合があります。
また、中毒症状が発生しなくても脂質が豊富な食品なので吸収不良を引き起こし下痢をすることがあります。
そしてもう1つは種の誤食です。
アボカドの種を丸呑みしてしまうと食道や消化管で閉塞する可能性があります。
骨の誤食は犬・猫の緊急手術に至る場合も
これも中毒を引き起こす食品ではありませんが、誤って食べてしまうと危険です。
骨つきの肉や大きな魚の骨は飲み込んでしまうと食道や胃を傷つける可能性があります。
場合によっては胃や腸を突き抜けてしまい緊急手術が必要なこともあるので要注意です。
特に、ゴミ箱に捨ててあるものを漁って食べてしまうケースを多いようです。
捨てておいてもワンちゃん・ネコちゃんの届く範囲に置いておくのは危険です。
いかがでしょうか。
今回取り上げたもの以外にも中毒を起こす食品や危険な食品は存在します。
僕は、原則としてヒトの食べ物をワンちゃん・ネコちゃんに与えないことを強くおすすめします。
ただし、ゴミ箱を漁ったり、ふとした拍子に食べてしまう事故はあり得ます。
食べてしまったことが分かったら速やかに受診してください。
文責:獣医師 小川