デンタルケアってどうやるの?

みなさま、こんにちは。
今回は、ご自宅でのデンタルケアのやり方について解説したいと思います。

「先生、うちの子、口が臭いんです。」
「先生、うちの子、歯石が沢山付いてるんです。」
「これって歯周病ですか?」

はい、歯周病です

歯垢の沈着による歯肉炎、細菌の増殖に伴う口臭、歯肉炎の進行による疼痛・根尖膿瘍・皮膚口腔瘻etc
これら全ての総称が歯周病と呼ばれます。

現在、すでに進行した歯周病になっている子の場合は全身麻酔下で歯石除去や抜歯を行なう必要があります。
しかし、一時的に口の中の環境を良くしても、処置後に何もしなければすぐに再発してしまいます。
そこで重要なのがご自宅でのデンタルケアです。

みなさんは毎日歯を磨きますよね?
磨かない方はごく少数だと思います。

しかし、日頃、飼い主さんとお話ししていて、デンタルケアの習慣があり毎日行なっている飼い主さんは1割に満たないです

今回は、デンタルケアを行なったことがない方や毎日はできていない方などにステップアップの方法をお伝えして、毎日歯磨きが出来るようになるきっかけになればいいなと思っています。

では、実際にデンタルケアを導入していくための方法を順番にご紹介します。

①毎日口の中を触ることを習慣化する
そもそも、ワンちゃん・ネコちゃんは口の中を触られるのを嫌がります。
それを無理やり触りに行ってもますます嫌がられるばかりで関係性が悪化してしまいます。
この段階の子にオススメするのが、食事やオヤツ直前に口を触る方法です。
人間は食後に歯を磨くので、デンタルケアは食後というイメージを持たれている方が多いです。
しかし、ワンちゃん・ネコちゃんの場合は食前でも全く問題ありません。
頑張って口を触られたらご飯がもらえる、このように学習してくれるとデンタルケアの習慣化がとてもはかどります。

②デンタルケアグッズを使い始める
毎日口の中を触る習慣を作れたら、次はデンタルゲアグッズを導入します。
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上記のようなシートやジェルなど使いやすいものを選んで使用します。
ここで注意したいのが、乾いた製品で直接歯ぐきを擦るのは控えてください
歯茎に細かな炎症や傷をつける可能性があります。

③歯ブラシを使い始める
デンタルケアグッズの使用に慣れてきたら、いよいよ歯ブラシの導入を開始します。
色々な歯ブラシが販売されているのですが、必ずコレ!というものはありません。
僕が飼い主さんにアドバイスする点は次の2点です。
・なるべくヘッドが小さいものを使うこと
・毛先がひらいてきたら交換すること
特に小型犬やネコちゃんの口は小さいので、人間の乳児用歯ブラシや単歯用歯ブラシがオススメです。

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デンタルケア導入から歯ブラシ使用までのステップはこんな感じです。
また、歯磨きガムについての質問もよくお受けします。
色々な製品があって、それぞれ使用感は良いのですが、歯磨きガムはあくまでデンタルケアのサポートという位置付けです。
つまり、歯磨きガムを食べていれば歯磨きしなくても大丈夫、ではありません。
使い方としては、歯磨きができた後のご褒美として歯磨きガムを与える、という併用が理想的だと考えています。

いかがでしょうか。
今回は、デンタルケアについてお話しさせていただきました。
診察していて歯周病の遭遇頻度はかなり高いです。
人間と同様、歯周病は進行すると心臓や腎臓などにも影響を与える恐ろしい病気です

これを機に日頃のデンタルケアを始めてみてはいかがでしょうか。

文責:獣医師 小川