ノミ・マダニ駆除薬のタイプの違い

みなさま、こんにちは。

今回はノミ・マダニ駆除薬のタイプの違いについてお話したいと思います。

まず大前提として、タイプの違いによって製品の優劣があるわけではありません。

あくまでコンセプトが異なるだけで、駆除薬としての効果は同じです。

これを踏まえた上で、当院で扱っているノミ・マダニ駆除薬をタイプ別に紹介し、それぞれの特色を解説していきたいと思います。

スポットオン(滴下)タイプ

→動物が舐められない場所に薬剤を垂らし、薬剤が体表面に広がって作用するタイプ。

体表面で駆除・予防効果を発揮するので吸血というイベントを回避することが出来る

作用の持続期間はおよそ1ヶ月程度。

薬剤を滴下する日の前後1-2日はシャンプーを避ける必要がある。

まれに滴下部位を異常に気にしたり、皮膚に病変が発生するケースがある

②経口タイプ

→経口投与することで薬剤の血中濃度が上昇し、吸血されると駆除効果を発揮するタイプ。

経口投与なので、シャンプーのタイミングをずらす必要はなし

作用の持続時間は1ヶ月程度のものや3ヶ月程度のものがある。

吸血されることが必須なので節足動物咬傷性のアレルギーが発生する可能性がある

食物アレルギーの子の場合は基質にアレルゲンが含まれている場合、アレルギー症状が出る可能性がある。

現在、当院で使用している薬剤を分類するとこんな感じです。

ここからは僕の個人的な意見です。

獣医師間でも意見に差が生じるので、参考程度にしてください。

スポットオンタイプと経口タイプの両者で、当院ではスポットオンタイプを第一選択にしています。

理由は、吸血というイベントが発生することを避けたいからです。

製品のコンセプト上、スポットオンタイプは吸血させずに駆除することを狙ったもので、経口タイプは吸血させて駆除することを狙っています。

前述したように、駆除するという効果は同一なのですが、吸血されることで生じるアレルギー反応や媒介する疾患に罹患する可能性が少なからず存在します。

よって、どちらかを選択できる場面ではスポットオン製剤を使用しています。

ただし、次のようなケースでは経口薬を使用しています。

・滴下した部位をとても気にして舐めたり、擦り付けたりしてしまう。

・滴下部位の皮膚が赤くなったり、痒みが出てしまう。

・多頭飼育の場合、滴下部位を別の子が舐めてしまう。

・飼い主さんが製品の匂いを許容することができない。

実際にこれらの理由でスポットオン製剤から経口薬に変更し、現在も継続している子がいます。

今回はノミ・マダニ駆除薬のタイプとそれぞれの特色についてお話ししました。

冒頭でもお話しした通り、駆除効果に優劣はありません。

あくまで、製品のコンセプトが異なるだけです。

僕たち獣医師がコンセプトの違いを理解し、なぜその製品を使うのかを飼い主さんにきちんと伝えることが重要であると考えています。

人獣共通感染症の報告が増えているので、ノミ・マダニ駆除に関心を持たれている飼い主さんが増えています。

ノミ・マダニ予防をしたことがない方、やっているが今の方法に疑問がある方は一度獣医師に相談してみてください。

文責:獣医師 小川