みなさま、こんにちは。
今回は、ワンちゃんを抱っこする際のポイントについてお話したいと思います。
ワンちゃんを抱っこする際の5つのポイント
ワンちゃん、特に小型犬の場合は抱っこする機会が多いかと思います。
その際、みなさんはどのように抱っこしていますか?
抱き上げる時、抱っこしている時、降ろす時、それぞれの場面で気をつけたいポイントがあるので順番に解説していきます。
①抱き上げるときは背骨と地面の平行を意識する
まずは大前提として、普段のワンちゃんの姿勢を考えてみましょう。
ワンちゃんは4本足で立っているので、普段は背骨と地面が平行になっています。
抱っこする際もこの状態をなるべく維持してやることがポイントです。
つまり、片方の腕でワンちゃんの体の前半分(胸のあたりを支えると安定します)を、もう片方の腕でワンちゃんのお尻あたりを支えて抱き上げてやるのが理想的です。
②脇の下に手を差し入れて抱っこはNG
一方、避けて欲しい抱き上げ方もあります。
ワンちゃんの脇の下に手を差し入れてそのまま抱き上げる方法です。
ちょうど、人間の子供をたかいたかいするやり方ですね。
これは背骨が地面と垂直になり、さらに下半身がフリーなので脊椎に負担がかかる可能性が高いです。
また、この抱き上げ方を日常的に行なっていると肩関節や周囲の組織に負担がかかり、肩関節不安定症などの病気を発症する可能性もあります。
小型犬はヒョイっと抱き上げられてしまうので、これをやってしまいがちですが是非見直していただきたいポイントです。
③抱っこ中は必ず両手でワンちゃんを支える
こちらも大前提として、必ず両手でワンちゃんを支えてください。
抱っこされている時にずっとおとなしくしているとは限りません。
びっくりしたり、興奮した際にしっかり支えていないと落下して外傷や骨折を起こす事故が考えられます。
④ワンちゃんを肩に乗せるのは非常に危険
また、たまに見かけるのがワンちゃんを肩に乗せる抱き方です。
腕で抱くよりもさらに不安定で、より高所からの落下の危険があります。
さらに、とっさに尻尾や脚をつかむことで二次的な被害が生じる可能性もあるため、心当たりのある方は見直していただきたいです。
⑤降ろすときは、足が4本地面に着いてから手を離す
ここで守って欲しいポイントは足が4本とも地面に着いてから腕を離してあげることです。
ワンちゃんが暴れた際に空中で腕を離してしまい、飛び降りる形になってしまうことがあります。
着地に失敗して怪我をする危険性ももちろんあるのですが、しっかり着地が出来たとしても関節に負荷がかかってしまいます。
特に、肩関節が最も負担を生じる場所で、飛び降りてから前脚を挙げているという症例によく遭遇します。
実際に、20cmほどの高さでも肩関節を損傷した子もいるので、降ろす時は足がきちんと着いていることを確認してから腕を離すように気をつけてください。
いかがでしょうか。
今回はワンちゃんを抱っこする際のポイントについてお話しさせていただきました。
特に①に関しては、この抱き上げ方を行なってワンちゃんが空中で暴れた結果、胸腰部の椎間板ヘルニアを発症した症例がいます。
人間側がポイントを押さえて注意することで病気の発生が回避できるので、参考にしていただけたら嬉しいです。
文責:獣医師 小川