みなさまこんにちは。
今回は、ワンちゃん・ネコちゃんのご自宅での耳ケアの方法について解説したいと思います。
みなさんは、ご自宅でワンちゃん・ネコちゃんの耳を観察していますか?
特に耳が垂れている子の場合、めくって見ないと内部の観察はできません。
実際に、耳が炎症を起こしているにもかかわらず飼い主さんが気づいておらず、ひどくなってから受診されるケースにも数多く遭遇します。
病気の早期発見のためにも日常的な耳の観察とケアは重要です。
耳のどこを見れば良いのか、耳のケアは何を行えば良いのかについて順番に解説していきます。
耳を観察する際のポイント
まずは、耳の外と内を観察する習慣をつけましょう。
前述したように、耳の外側の皮膚や耳介部は普段のスキンシップを行なっていれば観察しやすい部位なのでしっかり見ている飼い主さんが多いかと思います。
耳の中を覗いてみよう
そこでもう一歩踏み込んで耳の中を覗いてみましょう。
耳が垂れている子なら耳を持ち上げて耳の穴の中を見る。
耳が立っている子なら耳を少し後ろに引っ張って耳の穴の中を覗いてみてください。
観察すべきポイントは次のような点です。
・掻いた跡や赤くなっている場所がないか
・探さなくても分かるほどの大量の耳垢(ミミアカ)が付着していないか
・普段とは異なる臭いがないか
→正常な耳でも無臭ではありません。あくまで、普段と違う臭いがしないかを意識してください
・触った時に嫌がる場所がないか
・左右で差がないか
これらのポイントに該当する場合、耳になんらかのトラブルが生じているケースが考えられるので早めに受診してください。
おうちで耳のケアをしてみよう
次に、日頃のケアについてお話します。
診察時にどんなケアを実施されているか質問するのですが、みなさん様々な方法をとっていらっしゃいます。
綿棒を使ってケアをする際は注意が必要
その中で僕が注意した方が良いと指摘するのが綿棒を用いたケア方法です。
綿棒はヒトが耳掃除をする時に頻繁に用いるので、耳ケアの代名詞のようなイメージがあります。
しかし、これを動物に適用するにはかなりハードルが高いです。
なぜなら、綿棒を操作している時に先端が目視できていないからです。
ヒトが自分の耳を綿棒で掃除する際は痛みが無いように調節して行うので大きな損傷につながるケースは少ないです。
しかし、動物の場合はこうはいきません。
耳に綿棒を入れるのをそもそも嫌がったり、入れている途中に急に暴れ出したりします。
そうなると、外耳道内で綿棒の先端が強く擦れて損傷させてしまう可能性があります。
では、どのような方法が良いのでしょうか。
コットンとお湯を使った耳のケアがおすすめ
僕が飼い主さんに耳のケアを指導する際に最も勧めるのがコットンとお湯を用いる方法です。
①化粧用のコットンを指に巻き、人肌程度のお湯に浸します。
②ある程度水分を切って、指が無理なく入る範囲を優しく拭き取ります。
これだけです。
基本的に耳は外側に汚れを排出する機能があるので、放っておいても汚れは外に出ます。
このケアは出口に付着した汚れを拭き取るのと、前述した観察を行うのが主な目的です。
観察して異常を感じた場合は診察を受けていただき、症状に応じた処置を個別に指示することになります。
いかがでしょうか。
今回は耳の観察とケアについてお話しました。
とくに観察することが最も重要で、普段とは違うなと感じられることが病気の早期発見に繋がります。
耳の異常は耳の病気だけでなく、アレルギーや代謝性疾患によって発生することも考えられます。
今回のお話が皆さんの日頃の観察とケアに役立ってくれると幸いです。
文責:獣医師 小川