動物の痛みについて

みなさま、こんにちは。

今回は動物の痛みについてお話をしたいと思います。

動物も当然痛みを感じる

まずは、動物にもヒトと同じように痛みがあります

当たり前のことなのですが、診察時に

「犬や猫も痛いんですか?」

とたまに聞かれることがあるので最初に明言しておきます。

動物はヒトのように痛みを言葉で伝えられない

ここでやっかいなのが、動物は例え痛みを抱えていても、〇〇が痛いと伝えることができないという点です。

つまり、動物が痛みのサインを出していることに飼い主さんが気づく必要があります。

動物が痛みを訴える10のサイン

そこで、動物が痛み、特に慢性痛を訴えている時のサインを10個示します。

普段動物と接していて次の項目に該当するものがないか意識しながら見てみましょう。

①散歩に行きたがらなくなった。行っても走らず、ゆっくり歩くようになった。

②階段や段差の登り降りを嫌がる、または動作がゆっくりになった。

③家の中や外であまり動かなくなった。

④ソファー、イス、ベッドなど高い所への上り下りをしなくなった。

⑤立ち上がるのが辛そうに見える。

⑥元気がなくなったように見える。

⑦飼い主や他の犬と、またはオモチャなどで遊びたがらなくなった。

⑧尾を下げていることが多くなった。

⑨跛行(足を引きずる、ケンケンする、着かないように歩くなど)がある。

⑩寝ている時間が長くなった、または短くなった。

これらのうち、1つでも当てはまる場合は慢性痛、とくに運動器疾患による慢性痛を抱えている可能性があります。

気を付けてあげたいのが、これらの変化は加齢によって頻繁に遭遇するということです。

つまり、「年とってきたし、こうなるよね」と思ってしまいがちなのです。

動物の痛みの原因は必ずしも加齢だけのせいではない

もちろん加齢に伴って上記の症状が認められることは事実です。

ただし、動物が慢性痛を訴えていることを認識せずに接していると、痛みをピックアップできていないケースが実に多いです。

僕たちも診察時にお話を聞いたり、触診して痛みを発見するケースはあるのですが、多くの場合で飼い主さんが痛みを認識していません。

動物と一番長い時間を過ごしているのは飼い主さんなので、日頃の様子を観察する際にこれらの項目を意識してもらえると幸いです。

動物が痛がっている様子に気づいたら?

では、動物が訴える痛みに気づいた際、どうすればよいでしょう?

まずは動物病院を受診してください

その際、どんな様子が気になって痛みがあると思ったのかを詳しくお伺いします。

その後、触診や歩様検査を進めていき、痛みの場所を特定します。

動物の痛みに対処する方法は?

痛みの部位や程度によって、消炎鎮痛剤やサプリメントを使用するケースもありますが、僕が最も指摘するのが肥満による体重過多です。

運動器の慢性痛は徐々に進行していくので、痛みがあることがわかった時点で肥満であるならば、最初にダイエットを強く勧めます

早い段階で体重を適正なところまで落としておかないと、いざ痛みがひどくなってきた時に薬やサプリを飲んでも、体重過多のせいで疼痛管理がうまくいかなくなってしまいます。

いかがでしょうか。

今回は動物の痛み、とくに慢性痛についてのお話をしました。

多くの動物が慢性的な痛みを抱えていながら、気づいてあげられていないというジレンマを抱え続けています。

動物が痛みを抱えていることを認識することで、少しでも痛みをピックアップすることができれば幸いです。

※また、今回のお話は動物のいたみ研究会(https://dourinken.com/forum/itamiken/?fbclid=IwAR1hto9eDObdbXFjVyASZjokwfWt0vwAIPt0ySwvILfOFyRymYi88UHNJ1g)が作成した評価項目を引用しています。

イラスト付きのチェックリストがダウンロードできますので参考にしてください。

文責:獣医師 小川