おうちでワンちゃん・ネコちゃんの眼のケアをしてみよう

みなさま、こんにちは。

今回はご自宅で行なう目のケアについて解説したいと思います。

特徴別!おうちでワンちゃん・ネコちゃんの目のケアをするポイント

まず、みなさまはワンちゃん・ネコちゃんの目のケアをされていますか?

眼疾患や外傷などがない限り目のケアをせずとも大丈夫な子がいる一方、目脂や涙焼けなどを丁寧にケアする必要がある子もいます。

今回はいくつかのパターンに対して行なって欲しい目のケアと、見るべきポイントについてお話していきます。

①普段、目脂も涙もあまり目立たない子

→実施するケアは特になく、目脂が出ていたらお湯で濡らしたコットンを用いて拭き取ってあげてください。爪で目脂を引っ掛けて取り除いたり、乾いたティッシュで擦り取るというお話を聞くのですが、眼球や皮膚を傷つける可能性があるので、お湯で濡らしてゆっくり拭き取ってあげてください。

このケースでは、目がいつも通りであるのを日々観察することが最も重要です。

どちらかの目を気にして足や床で擦っていないか、目が開きにくそうでないか、結膜や目の周囲が赤く腫れていないか、目が白濁していないか、などをチェックしいつもと違うと感じたら診察を受けてください。

②普段から目脂が多い、涙が多い子

→これは特に短頭種のワンちゃん・ネコちゃんで多いトラブルです。

鼻涙管狭窄や異所性睫毛などさまざまな要因で流れる涙の量が増え、目の周囲の毛が変色したり皮膚炎を起こしたりします。

このケースでは①よりもこまめに涙や目脂を拭き取ってやる必要があります。

用いるのはコットンとお湯、または涙焼け用のワイプで目の周囲を拭きます。

当院ではこのような涙やけワイプ使用しています。

ワイプで涙やけを拭き取った後は、別途拭き取る必要もなく普段からのケアにも取り入れやすいのがメリットです。

この処置を行ない、涙焼けや流涙がある程度コントロールできていれば継続します。

しかし、これを続けていてもずっと目を気にしたり、涙焼けで眼周囲の皮膚損傷が強くなる場合は原因疾患の治療を提案します。

③結膜浮腫・流涙・目脂が間欠的に発生する子

→これは猫のウイルス性角結膜炎で頻繁に遭遇するパターンです。

猫はヘルペスウイルスの感染によってウイルス性鼻気管炎や角結膜炎を引き起こします。

これらは治療によって一旦症状が治るのですが、ヘルペスウイルスは体内で潜伏感染します。そして、時折増殖して症状を引き起こします。

このケースでは、まずその子がウイルス感染を疑う症状を過去に起こしていたかどうか確認します。

仮に、過去に症状があった場合は、ストレスや免疫抑制などによってウイルスの増殖が起こると同様の症状が発生します。

これを飼い主さんに認識して普段の様子を観察してもらい、症状が出たらその都度治療を行ないます。

④以前に角膜を損傷したことがある子

→これは喧嘩による外傷や、短頭種の場合、日常生活を送っているだけで角膜にものがぶつかってしまう可能性があります。

一度、角膜を損傷すると打撲痕が残存したり、角膜に血管が侵入して違和感が残るケースがあります。そうすると、目を気にして擦り付ける動作が増えてしまうので、常に目に障害が発生する危険性が増えてしまいます。

この場合、角膜保護剤を点眼したりエリザベスカラーを装着して目を擦る動作自体をコントロールする必要があります。

しかし、管理が長期化することがほとんどですので、短頭種や活動性の高い子は目を傷つけないように生活環境や家具の配置などを見直す指導を行ないます。

いかがでしょうか?

今回お示しした以外にも様々な眼疾患が存在し、それぞれに応じた治療をする必要があります。

最も重要なのは、日頃のケアを実施しながら目の様子を日々観察することです。

そこで違和感や状態の変化に気づいたら早めに受診し、診察を受けてください。

 

文責:獣医師 小川