みなさま、こんにちは。
今回はネコちゃんの毛玉についてのお話をしたいと思います。
ネコちゃんはどうして毛玉を吐くの?
ネコちゃんの飼い主さんの多くは毛玉を吐いているところを一度は見たことがあるのではないでしょうか。
まずは、なぜ毛玉が作られるかを解説していきます。
猫は1日のうち多くの時間をグルーミング(毛繕い)に費やす動物です。
猫のザラザラした舌でグルーミングをすると毛が切れ、その大半を飲み込んでしまいます。
毛は消化されないため、通常はそのまま胃・腸を通過し便とともに排出されます。
しかし、飲み込んだ毛の量が多い場合やうまく通過できない場合は毛玉が胃にとどまり、猫はそれを吐き出そうとして、毛玉を吐くというイベントが発生します。
毛玉を吐く頻度はどれくらいなら正常?
次に、このイベントの頻度についてのお話をします。
毛玉を吐くという行為自体は前述したメカニズムで生じる、猫にとっては生理的な行動です。
しかし、あまりにもしょっちゅう嘔吐を起こしているのであれば何らかの対策を講じていく必要があります。
その線引きとして、僕は1ヶ月に2回以上毛玉を吐く子の場合、治療介入を勧めます。
ネコちゃんが毛玉を吐くことは予防できるの?
では、実際に毛玉を予防するケアを紹介していきます。
①ブラッシング
まずは丹念なブラッシングが基本です。
特に長毛種の子はこまめなブラッシングが必要となりますが、ブラシの選択も重要です。
短毛の子であれば一般的な猫用のコームで良いのですが、長毛の子はしっかり梳かすためにスリッカーや先の長いコームがおすすめです。
毛にしっかりとブラシの先端を入れて梳かしてやる必要があるのですが、この際皮膚を強く擦りすぎないように注意してください。
特にスリッカーは先が金属で固いので、皮膚に強く当てて使うと皮膚障害を起こす可能性が高いです。
②サプリメント
ブラッシングをこまめに実施しても毛玉を吐くイベントに改善が見られない場合、サプリメントの導入を行ないます。
僕が主に使用するのは流動パラフィンとワセリンが含まれている製品で、投与することで毛玉の形成を予防する+通過を促し便とともに排出させる効果を狙っています。
また、便とともに排出させることを目的に膨張性下剤であるサイリウムを使用することもあります。
毛玉予防を標榜しているフードにもこのサイリウムが含まれているケースが多いです。
③外科手術
これは予防ではなく、大量の毛玉が消化管で閉塞を起こしてしまった場合に実施します。
毛玉で腸閉塞を引き起こすケースは稀ではあるものの、可能性はあります。
このリスクを軽減させるために①②で予防を徹底します。
猫草は毛玉予防に効果あるの?
また、猫草を食べさせることについてもよく質問を受けます。
猫草は食べることによって消化管が刺激され、毛玉の排出を促すというコンセプトです。
なので、猫草を与えることで毛玉を吐く頻度が減少するようなら継続使用していただいています。
ただし、消化管に刺激を与えるため、下痢を引き起こす子もいます。
猫草を与えてから下痢が始まった場合は、使用を中止するようにお話しています。
いかがでしょうか。
今回はネコちゃんの毛玉についてお話ししました。
毛玉を吐くというイベントもさることながら、長毛種の場合、こまめにブラッシングを実施しないと体表にも毛玉が出来てしまいます。
体表の毛玉を放っておくとその部位のグルーミングが出来なくなり、皮膚疾患が発生しやすくなってしまいます。
これを予防するためにもブラッシングは基本ながら最も重要なケアです。
ネコちゃんが毛玉を吐いてお悩みの方は、一度ご相談ください。
文責:獣医師 小川