みなさま、こんにちは。
今回は、サマーカットについてのお話をしたいと思います。
ワンちゃん・ネコちゃんのサマーカットってなに?
みなさんはサマーカットをご存じですか?
明確な定義があるわけではなく、普段よりも被毛を短く刈り込むカットの仕方をサマーカットと呼びます。
毎年、夏場になるとサマーカットを実施されている飼い主さんがいらっしゃいます。
また、僕たちが指示して実施してもらうケースもあります。
そこで、サマーカットを行う際に知っておきたいメリットとデメリットについて解説していきます。
サマーカットのメリットは?
まずはメリットです。
・皮膚の状態が観察しやすくなる
・被毛のお手入れがしやすくなる
・毛球症の予防
・シャンプーが実施しやすくなる
・涼しく過ごせる
メリットとしてはこのようなものが挙げられます。
特に、僕たちが皮膚疾患の治療を行なう上でサマーカットをしていただく際、皮膚の状態の確認とシャンプーのしやすさが最大のメリットと考えています。
皮膚疾患を治療していく際、厄介なのは被毛があると皮膚が見えにくい、ということです。
当たり前のことを言っているように感じられるかもしれませんが、これが意外と落とし穴です。
まず、皮膚が見えにくいと、そもそも病気の発見が遅れます。
被毛の下で初期病変が発生していても見えないと認識することができず、進行して初めて飼い主さんが気づいて受診されるケースが非常に多いです。
また、治療をしていく際にシャンプーを使用する場合、被毛が短い方がシャンプー療法がやりやすくなります。
さらに、治療経過の観察も格段にやりやすくなります。
このようなメリットが得られる場合、サマーカットを実施します。
サマーカットによるデメリットは?
一方、デメリットは次のようなものが挙げられます。
・皮膚への紫外線の暴露量が増える
・バリカン後脱毛症の発生
・毛の質が変化する
・蚊に刺されやすくなる
紫外線の暴露量については、被毛を短くすると皮膚が日光に晒されやすくなるので散歩のタイミング調整などを行なう必要があります。
特に熱くなってくるこの時期は、サマーカットの有無に関わらずお散歩はできるだけ涼しい時間帯(日の出後2時間以内、日没2時間後など)に済ませることをおすすめします。
あわせておうちでの熱中症対策に関しては、以下の記事も参考にしてみてください。
また、被毛が短くなることで蚊が吸血しやすくなり刺される頻度が増加する可能性もあります。
バリカン後脱毛症は一度バリカンで毛を刈った後、部分的に被毛が伸びないでそのままになってしまう症状です。
バリカンの刺激が原因であると考えられており、治療法はいくつか試されていますが確定的なものはなく、経過観察と対症療法をすることも多い病気です。
また、脱毛症にはならなくとも、伸びてきた被毛の質感が変化することもあります。
サマーカットにはこのようなメリット・デメリットが存在します。
僕たちが治療をする際に指示する場合も、飼い主さんの判断で実施する場合も、このメリットとデメリットを十分理解した上で行なうのが望ましいです。
今年の夏、サマーカットを検討していらっしゃる飼い主さんの参考になれば幸いです。
文責:獣医師 小川