みなさま、こんにちは。
今回はワンちゃん・ネコちゃんの腹痛についてのお話をしていきたいと思います。
ワンちゃん・ネコちゃんの腹痛
下痢や嘔吐は僕達が診察していて最もよく遭遇する症状のひとつです。
ワンちゃん、ネコちゃんが下痢や嘔吐を頻回起こしていると、飼い主さんも早めに受診してくださいます。
しかし、活動性の低下や食欲不振の場合、様子をみてしまう方が多い印象を持っています。
下痢や嘔吐があるから重症、無いから軽症と一概に断言することはできず、かえって活動性の低下や食欲不振のみだった子が重篤な状態である可能性も十分に考えられます。
そこで今回は、ワンちゃん・ネコちゃんが不調を訴えるサインとして見落として欲しくない『腹痛を訴えるサイン』について解説していきます。
ワンちゃん・ネコちゃんの腹痛サイン
ワンちゃんやネコちゃんは体の不調があっても、それを言語化することができません。
しかし、特定の症状や疾患を訴えている時に、それぞれを示唆するような行動やサインを示すことが分かっています。
腹痛を訴える時、ワンちゃん・ネコちゃんは腰部を高く上げる姿勢を取ります。
これを僕達は『祈りの姿勢』と表現しています。
食欲不振や活動性低下に加え、この祈りの姿勢がある際は次のような疾患が鑑別に挙がります。
・胃・十二指腸炎
・胃・十二指腸潰瘍
・膵炎
・胆嚢炎、胆管炎
・尿管結石
・腹膜炎
etc
腹痛を訴えるサインの中には消化器疾患以外のものも含まれます。
ここで挙げたものは全て、急速に状態が悪化する可能性のある病気です。
嘔吐・下痢といった分かりやすい派手な症状が出ていなくても、食欲不振や活動性低下、そして祈りの姿勢を認識した場合は早めの受診をおすすめします。
元気がなくても食欲があれば受診しなくて良い?
少し話が変わるのですが、嘔吐や下痢を起こしている、でも食欲はあって元気な子にしばしば遭遇します。
こんな時、様子見てていいですか?とよく飼い主さんに聞かれます。
様子は見ずになるべく早めに受診して欲しいのですが、自宅で是非やって欲しいことがあります。
それは、絶食です。
いくら元気で食欲があっても、実際に嘔吐や下痢が発生しているので、食べたものはきちんと消化吸収されません。
それどころか、負担がかかっている消化器にさらに負担をかけることにつながります。
嘔吐や下痢が発生していたら、絶食または与える量をごく僅かに限定し、速やかに受診して嘔吐・下痢の診断と治療を進めることを推奨します。
腹痛の受診時に把握しておきたい6つのポイント
また、受診するに際して次のようなことが把握できていると診断がスムーズに進みますので参考にしてみてください。
・いつから症状が出ているか
・症状は強くなっているか、マシになっているか
・きっかけに心当たりはあるか
・現在どんな食事を食べているか
・以前にも同じような症状を起こしたことはあるか
・治療中の病気の有無
これらに加え、最終的に出た便をご持参いただくと便検査を実施できます。
いかがでしょうか。
今回はワンちゃん・ネコちゃんの腹痛についてお話しました。
言葉を話してくれない動物の症状やサインを拾うのは、やはり難しいことが多いです。
しかし、特徴的なサインを把握しておくと病態の早期発見が可能になり、重篤化する前に治療を進めることができます。
今回のお話が病気の早期発見・治療に繋がれば幸いです。
文責:獣医師 小川