食欲の秋、肥満にご注意!

みなさま、こんにちは。

今回はワンちゃん・ネコちゃんの肥満についてのお話をします。

ワンちゃん・ネコちゃんの肥満

定期的にお話しする内容なのですが、食欲の秋ということで再度解説していこうと思います。

BCSに基づいて肥満度を9段階に評価する

まずは肥満の判断基準についてです。

以前にも紹介したのですが、僕たちは肥満かどうかを判断するのに体重だけを見ているわけではありません。

BCS(Body Condition Score)という体型の指標を元に、その子の体型を5段階または9段階に分類しています。

https://www.royalcanin.co.jp/dictionary/column/20150220 より引用

この表ではBCS4または5が適正な体格として設定されています。

すなわち、その子の適正体重は適正体格の際の体重である、と言うことができます。

ワンちゃん・ネコちゃんの肥満は食事が原因?

次に食事についてです。

ワンちゃん・ネコちゃんの肥満の原因のうち、90%以上は摂取カロリーオーバーであると僕は考えています。

また、自分のワンちゃん・ネコちゃんが肥満であることを飼い主さんが認識できていないことも問題の一つです。

実際に診察していて、ダイエットの指導をするときに多くの飼い主さんからお伺いする問題点として次のようなものが挙げられます。

・1日の食事量(グラム)を決めていない

・過剰な量のオヤツを与えている

・ご家族の誰かが隠れてオヤツを与えている

このうち最も多いのが、1日の食事量(グラム)を決めていないパターンです。

大体カップ1杯与えています、目分量で与えています、器が空になったら足しています、などさまざまな飼い主さんがいらっしゃいますが、これらはすべて摂取カロリーがきちんと把握できていない状態になっています。

総合栄養食の食事であれば、どんな製品にも必ず体重に対する食事量の目安が記載されているはずです。

先述したように、適正体型で居る時の体重が適正体重ですので、食事量の設定をする際の体重は適正体重を参考にしてください。

まれに現在の体重で食事量を設定してしまう飼い主さんがいらっしゃるのですが、その食事量では現在の体重が維持されるのでダイエットできません。

ちょっとだけならおやつを与えても大丈夫?

また、おやつに関してはご褒美として少量与えるのであれば問題にならないケースが多いのですが、おやつを食べることが習慣化してしまうと要求量が増えてしまい、結果的にオーバーカロリーになってしまうケースが多いです。

おやつを与えるタイミングを、ここだけ!と決めてしまうのが良いです。

ワンちゃん・ネコちゃんのダイエットにはご家族のご協力が必須

さらに、よくあるケースとして、普段診察に来ていただく飼い主さんは積極的にダイエットに取り組むのに、ご家族がそれを認識せずにおやつを与えてしまう、という状況です。

ワンちゃん・ネコちゃんのダイエットで最も重要なのはご家族間での意志と認識の共有です。

現在肥満の状態であり、ダイエットしないと健康被害が生じるということをご家族全員で共有していただくように必ずお伝えしています。

また、どうしてもご家族がおやつを与えるのをやめない場合は、直接ご来院いただき面談することもあります。

これらを全てクリアし、適切なカロリーで食事量を設定しているにもかかわらず、体重が落ちない場合は基礎疾患の存在を疑い、検査を進めます。

いかがでしょうか。

肥満は心臓病や関節疾患などの原因、悪化因子になることが知られています。

特に、ワンちゃん・ネコちゃんの場合は食事を管理するのは飼い主さんなので、ダイエットが成功するかどうかは飼い主さんにかかっています。

自分のワンちゃん・ネコちゃんを見つめ直し、肥満かな?と感じられた方は一度動物病院にご相談ください。

文責:獣医師 小川