猫のノミアレルギー性皮膚炎

みなさま、こんにちは。

今回は猫のノミアレルギー性皮膚炎についてのお話をしていきたいと思います。

以前にもノミが媒介する病気の一つとしてお話したのですが、今回はより詳しく解説していきます。

ノミアレルギー性皮膚炎ってなに?

ノミアレルギー性皮膚炎はノミの感染による皮膚炎、あるいはノミ感染に伴うアレルギー性皮膚炎のことを指します。

どんな年齢でも発症しますが、とくに下記のようなケースでは注意が必要です。

・外部から一般家庭に導入されたばかりの子猫

・ノミ予防をしていない猫

・基礎疾患のある猫

・免疫抑制療法を実施している猫

発症部位は背中、特に腰背部にみられることが多いです。

しかし、猫は体が柔らかいのでより広範囲に発症する可能性が十分考えられます。

ノミアレルギー性皮膚炎になるとどんな症状が出るの?

症状は、皮膚の赤みや隆起、脱毛、ただれなど様々なケースがありますが、猫では粟粒性皮膚炎(こまかい粒々とした赤い発疹)がみられることが多いです。

また、実際にノミ成虫が皮膚表面で動き回っていたり、ノミの糞が散在しているのを確認できるケースもあります。

ノミの糞はおうちでも見分けられる!?

ここで補足です。

ノミの糞は細かな黒褐色の粒なのですが、汚れやフケ等との見分け方があります。

この黒褐色の粒々を水に濡らした紙の上に置きます。

もし、ノミの糞であれば、紙に褐色が滲みながら溶けていきます。

これはノミが吸血した血液が含まれているからです。

もし、ご自宅で試してみてノミの糞である可能性が高い場合は、速やかに動物病院を受診してください。

ノミアレルギー性皮膚炎ってどれくらい痒いの?

次に、ノミアレルギー性皮膚炎の痒さについてです。

痒みの程度は様々ですが、一般的にはある程度強い痒みを引き起こします。

また、ノミの唾液に対してアレルギー反応を起こしている場合は非常に強い痒みを引き起こし、描き壊しが目立つケースがあります。

前述したような皮膚の症状、ノミ寄生を疑う所見に加え、痒みの症状がみられた場合はノミアレルギー性皮膚炎を引き起こしている可能性が高いため治療に進みます。

ノミアレルギー性皮膚炎の治療

治療はまず、ノミの駆除剤を使用します。

また、同居の動物がいる場合、必ず全員に駆除剤を使用するように指示しています。

これは、現在感染し症状が出ている子にのみ駆除剤を使用すると同居の子にノミが寄生し、そこでノミアレルギー性皮膚炎を引き起こす可能性が極めて高いからです。

駆除剤はスポットオンタイプを第一選択として使用しますが、滴下を嫌がったり滴下部位が炎症を起こしたりする子の場合は経口剤に変更します。

さらに、ノミアレルギー性皮膚炎により重度の掻き壊しが生じていたり、二次的な細菌の増殖がある場合は抗炎症剤や抗生剤、外部消毒などを組み合わせて治療します。

いかがでしょうか。

今回は猫のノミアレルギー性皮膚炎についてのお話をしました。

生活スタイルによっては1年を通してノミ予防をしておかないと、すぐに再寄生されてしまいます。

また、ノミ寄生はノミアレルギー性皮膚炎だけではなく様々な感染症を引き起こし、中には人獣共通感染症も含まれます。

一度でもノミ寄生を認めた場合は、以降のノミ予防を強くお勧めします。

文責:獣医師 小川