みなさま、こんにちは。
今回は、寒くなるにつれて遭遇する頻度が増す下部尿路疾患についてのお話をしたいと思います。
寒い時期には特にご用心!下部尿路疾患
以前にもお話しましたが、尿路とは腎臓→尿管→膀胱→尿道の順番で構成されています。
このうち、膀胱と尿道を下部尿路と表現します。
下部尿路疾患には様々なものが含まれますが、寒くなって発生しやすくなる傾向はどれも同じです。
これは、暑いときに比べて寒くなると飲水量が減少し、膀胱内に尿が停滞する時間が増えることが一因と考えられています。
そこで今回は、下部尿路疾患の症状や診断、治療、そして予防するためにできることについて解説していきます。
下部尿路疾患になるとどうなるの?
まずは症状です。
尿路や膀胱結石についての記事でも触れたのですが、典型的な症状は次のようなものが挙げられます。
・頻尿
・血尿
・トイレ以外の場所での不適切な排尿
・排尿時の痛み、途中でやめてしまう
・排尿姿勢を取るが尿が出ない
特に尿が全く出ていない場合は早急に処置する必要があるので、注意して観察してください。
下部尿路疾患はどうやって治療するの?
次に診断・治療です。
前述のような症状があり受診された場合、尿路の画像検査と尿検査を実施します。
検査結果に応じて、飲み薬を飲んでもらったり、食事を処方食に変更したり、場合によっては外科手術の適用となるケースもあります。
治療後は定期的に画像検査や尿検査を継続し、再発の徴候がないかをモニタリングしていきます。
下部尿路疾患にならないためには?
続いて予防のために飼い主さんにできることを解説していきます。
冒頭でも記載した通り、寒くなると飲水量が減少する傾向があります。
そして、尿量も減少することで下部尿路疾患の発生リスクが上昇するので、積極的に飲水を促すようにしてください。
しかし、ワンちゃん・ネコちゃんに単純に水を与えるだけでは中々飲水量の増加に繋がりません。
そこで、僕が飼い主さんにアドバイスする内容として、次のようなものがあります。
・こまめに水を新しくし、容器もその都度洗う。
・容器の種類を変えてみる。
・容器に溜めた水を飲まないようなら、流水や蛇口の水を試してみる。
・フードをウェットタイプに変更する。
・ドライフードを水またはぬるま湯でふやかす。
これらを組み合わせてしっかり水を飲ませてもらうようにします。
猫の不適切な排尿の原因は下部尿路疾患だけではない?
また、猫の場合は下部尿路疾患以外にも不適切な排尿を発生させる要因があります。
それは、トイレが適切でないケースです。
トイレ自体の問題、砂の材質、設置場所、周辺の環境など様々な要因が考えられます。
適切なトイレについては以下の記事で詳しく説明していますので、ご参照ください。
いかがでしょうか。
今回は寒くなると遭遇頻度が増える下部尿路疾患についてお話しました。
もちろん1年を通して発生するのですが、発生しやすい条件が重なるこれからの季節、特に注意して観察し、疑わしい症状を発見した場合は速やかに動物病院を受診してください。
文責:獣医師 小川