みなさま、こんにちは。
今回は季節やコンディションに応じたシャンプーの使い分けについてお話したいと思います。
季節に応じたシャンプーの頻度
『シャンプーってどれくらいの間隔でしてあげればいいですか?』
この質問は飼い主さんからとてもよく聞かれます。
しかし、答えはその子の置かれている状況によって様々です。
例えば、皮膚症状がない子なら1ヶ月に1回で十分です。
ところが、膿皮症やマラセチア皮膚炎、脂漏症の治療を目的としている場合は週2-3回洗ってください、と指示することもあります。
また、使用するシャンプー製剤も状態によって使い分けています。
そこで今回は、大まかな傾向として夏場と冬場でどのようにシャンプーを使い分けているのかにスポットを当てて解説していきたいと思います。
暑い夏場はシャンプーも頻繁にした方がいい?
まずは夏場です。
夏場に遭遇する皮膚疾患で最も多いのが膿皮症です。
今年もたくさんの症例を診察しました。
この際に用いるシャンプーは、細菌の増殖を抑える成分が入ったものや、余剰な角質を洗浄する能力の高いものを選択しています。
また、膿皮症の子にシャンプーをする際、僕は次のようなことを飼い主さんに必ずお伝えした上でシャンプーをしてもらっています。
・シャンプーと言っていますが、塗り薬だと思って使ってください。
・大人の手のひら2枚分の面積を洗うのに500円玉1枚分のシャンプーを使ってください。
これは細菌の増殖を抑えるために適切な濃度の薬剤を皮膚に届けるために必要な手順をなるべく分かりやすくまとめた結果です。
『シャンプー』と言うと泡立てて使用するイメージを持つ方が多いかと思います。
実際に、冬場のシャンプーでは、泡立てて洗ってくださいとお伝えしています。
しかし、膿皮症に対して使用する場合はシャンプーを希釈せず、そのまま適切な量を塗ってやることで適切な濃度を皮膚に届けることができるので、この使い方をお伝えしています。
初めは週2-3回で開始し、治療経過に合わせて調節をしていきます。
寒い冬場はシャンプーは控えめにするべき?
次に冬場です。
冬場は夏とは違い、膿皮症やベタつきよりも乾燥が問題になるケースが増えます。
この際、選択するシャンプーは保湿成分の配合されたものや皮膚への刺激が少ないものです。
また、必ず保湿剤を併用します。
冬場のシャンプーを行なってもらう際に飼い主さんには次のようなことをお話ししています。
・シャンプーをスポンジやネットで泡立てて、泡を皮膚に塗り広げていくようにしてください
・泡は手のひらに乗せ逆さにしても落ちない程度の固さがベストです
・ゴシゴシせずに優しく泡を置いてくるイメージです
・シャンプー後は必ず保湿剤を使用してください
夏場とは大きく異なります。
泡を作るのが大変な場合、初めから泡で出てくるタイプを選択することもあります。
また、保湿剤はシャンプーを行わない日も連続使用を指示することがあります。
冬場のシャンプーの場合、頻度は2-4週間に1回でスタートし、皮膚の状態によって調節することが多いです。
いかがでしょうか。
今回は、ざっくりと夏・冬に分けてシャンプーの使い分けについてお話しました。
もちろんその子の皮膚の状態によっては、冬でも夏と同じシャンプーを継続するケースもあれば、夏でも保湿を継続することもあり、ひとくくりにはできません。
今回お伝えしたかったのは、『季節によってシャンプーを使い分ける』という概念です。
普段ご自宅でシャンプーを実施されている方で、シャンプーについて疑問がありましたら一度獣医師にご相談ください。
文責:獣医師 小川