みなさま、こんにちは。
今回は、白内障についてのお話をしていきたいと思います。
白内障ってどんな病気?
白内障は眼球内の水晶体に含まれるタンパク質が変性し、不透明化することで生じる病気です。
この変化は不可逆性で、一度進行が始まると戻ることはありません。
白内障の原因は加齢・遺伝性・外傷・代謝性(糖尿病など)等があり、診断をする際に原因疾患や基礎疾患の鑑別を行なっておくことが重要です。
白内障には次のようなステージがあります。
①初発白内障
→水晶体全体の1割程度に混濁がある状態。通常視覚に影響はない。
②未熟白内障
→水晶体の混濁が広がっているが100%ではなく、視覚がある状態。
③成熟白内障
→水晶体が完全に混濁し、視覚が失われている状態。
④過熱白内障
→水晶体タンパク質の変性が進み、可溶化して水晶体嚢が縮み、皺がみられる状態。ぶどう膜炎の併発が多くみられる。
白内障はどうやって治療するの?
次に治療についてです。
初発から未熟白内障の段階では、定期検診を行ない主に視覚の有無についての経過観察を行ないます。
点眼薬で白内障の進行を予防
また、この段階で老齢性白内障の進行予防効果のある点眼を実施するケースもあります。
成熟白内障以降のステージでは、水晶体誘発性ぶどう膜炎や続発緑内障の有無をチェックしていきます。
白内障は手術で治るの?
白内障手術についてですが、これは全症例で行なっているわけではありません。
手術実施のメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
・視覚改善の可能性があること
・水晶体誘発性ぶどう膜炎や続発緑内障の予防が可能になること
一方、デメリットとしては次のようなことが挙げられます。
・手術実施の診断基準を満たす必要があること
・実施可能な施設が限られていること
・手術後も点眼やエリザベスカラーでの管理、定期的な検査が必要であること
以上を踏まえた上で、飼い主さんと話し合い、白内障手術をご希望される場合は眼科の専門医へ受診をしていただきます。
いかがでしょうか。
今回は白内障についてのお話をしました。
加齢性に進行する病気で、比較的馴染みのある病気だと思います。
しかし、加齢性のものだけではなく、代謝性疾患(特に糖尿病)が基礎疾患にある場合や、白内障の続発疾患については、あまり知られていない印象を持ったので、今回取り上げてみました。
ワンちゃん・ネコちゃんの目を観察し、違和感や気になることがある場合はすみやかに動物病院を受診してください。
文責:獣医師 小川