ワンちゃん・ネコちゃんの血液検査について

みなさま、こんにちは。

今回は血液検査についてのお話をしたいと思います。

ワンちゃん・ネコちゃんの様々な血液検査

血液検査は医療でもポピュラーに行われている検査なので、みなさんにとっても馴染みがあるかと思います。

「採血して抜いた血液を調べるやつ」ということはイメージしやすいのですが、実際に抜いた血液を、何を目的にどんな検査をしているかについて解説していきます。

①全血球計算(CBC:Complete Blood Count)

→血液に含まれる固体成分である血球の数、分類、形状の変化などを調べるための検査です。検査機器によって吸光度法や電気抵抗法などを用い、血球のカウント、分類を行ないます。また、同時に血液塗抹標本を作成し、実際に顕微鏡で異常な細胞の出現の有無などを併せて確認します。

CBCは尿検査とあわせて、全身状態を把握するスクリーニング検査として、とても重要な検査です。よって、血液検査を実施する際は多くのケースで実施されます。

②生化学検査

→血液に含まれる液体成分である血漿または血清中の物質の量を測定する検査です。

所謂、肝マーカーや腎マーカーと呼ばれる項目を測定したり、CRPやフルクトサミンなど、診断や経過観察に必要な項目を選択して測定します。

生化学検査を行う際、特に経過観察をしている症例では毎回測定条件を統一する必要があるため、絶食や食後どれくらいのタイミングで採血するかを、その都度お伝えして受診していただきます。

③凝固系検査

→血液がきちんと固まり、止血が可能かを調べるための検査です。

全身性の疾患や強い炎症を伴う疾患、明らかに凝固系に異常を来していると判断した症例で測定します。

④ホルモン検査

→血液中のホルモン(甲状腺ホルモンや副腎皮質ホルモンなど)量を測定します。

こちらも、治療のモニタリングをする際に測定することが多いのですが、測定のタイミングを統一する必要があるので、投薬からどれくらいのタイミングで採血するかをお伝えし、受診していただきます。

⑤薬剤の血中濃度測定

→投与中の薬剤が期待した濃度で安定して血液中に存在しているかを調べるための検査です。この検査結果により、内服中の薬剤の量や頻度を調整します。

こちらの検査も、薬剤投与と採血のタイミングを統一する必要があるため、測定のタイミングを指示し受診していただきます。

⑥その他

→さまざまな血清バイオマーカーやウイルス抗体価などの測定も血液を材料として実施することができます。

ただし、これらの検査は院内で完結せず、外部検査センターに提出することがほとんどなので、結果が得られるまでに数日かかることが多いです。

いかがでしょうか。

血液検査と言っても、おおまかに分類してこれだけの種類があります。

稟告や症状、他の検査の結果に加えて、必要な血液検査を組み合わせることで迅速な診断・治療を行うことが可能になります。

今回、本文中で何度も記載したのですが、採血するタイミングは非常に重要です。

検査の目的に応じてさまざまなタイミングが設定されていますが、それらを遵守しないと結果が変わったり、不明瞭になったりしてしまい、治療の妨げになってしまう可能性があります。

継続して血液検査が必要な子の飼い主さんは、採血するタイミングや条件をよく聞いて受診するように心がけていただけると非常にありがたいです。

文責:獣医師 小川