ワンちゃん・ネコちゃんの飲水量

みなさま、こんにちは。

今回はワンちゃん・ネコちゃんの1日の飲水量の評価と、そこから推測できる病気についてのお話をしたいと思います。

ワンちゃん・ネコちゃんはどれくらい水を飲むの?

まず、ご自宅でワンちゃん・ネコちゃんが1日でどれくらい水を飲んでいるか正確に把握していますか?

おそらくほとんどの方が正確な量を測ってはいないと思いますし、毎日計測する必要はありません。

飲水量が多いのはどれくらいから?

飲水量が多い、つまり多飲と判断する基準の一つとして、次のような指標があります。

1日あたりの飲水量が100ml/kgを超えると多飲傾向あり

これだけだとイメージしにくいので、実際に飼い主さんにお伺いするときは、次のような聞き方をしています。

体重〜5kgの子→500mlのペットボトル1本以上飲んでいますか?

体重5〜10kgの子→500mlのペットボトル2本以上飲んでいますか?

もちろん、これは一つの指標に過ぎないので、1mlでも越えれば即異常、あるいは1mlでも下回っていれば正常というわけではありません。

この指標に加え、今までよりも水を飲む量が急に増えていないか、という点も多飲を判断する材料と考えています。

多飲の場合に疑われる病気は?

では、多飲が認められた場合、どのような病気の可能性を考える必要があるでしょうか。

僕が診察をしていて多飲傾向を認めた場合は、以下の病気の鑑別を考えます。

・糖尿病

・慢性腎臓病

・副腎皮質機能亢進症

・甲状腺機能亢進症

・子宮蓄膿症

(その他にも、肝不全・尿崩症・高アルドステロン血症などの疾患がありますが、稀なので代表的なものとして上記の疾患を挙げます)

これらの疾患のうち、例えば糖尿病ならば多食傾向が併発していたり、副腎皮質機能亢進症なら皮膚の変化や腹囲膨満が認められたり、子宮蓄膿症なら嘔吐や陰部から膿汁排出があったりします。

多飲傾向だけで病気の診断を決定づけることはできませんが、より早期に気付いて検査することでこれらの病気を早期発見し、重篤化する前に治療開始できる可能性があります。

飲水量がいつもと違う場合は受診がおすすめ

いままでに1日の飲水量を全く気にしていなかった方は、まずおおよそどれくらい水を飲んでいるかを確認してみてください。

ある程度把握されている方は、以前と比べて飲水量が増加していないかを確認してみてください。

そして、うちの子は水を飲む量が多いかな?と思われた方は一度受診していただくことを強くお勧めします。

いかがでしょうか。

今回は飲水量、そして多飲と病気についてのお話をしました。

食事を1日どれだけ食べているかは比較的分かりやすいのですが、水を1日どれだけ飲んでいるかは意外に認識されていないことが多いです。

今回の記事を期に、一度飲水量を把握して多飲傾向があるのかチェックしてみてください。

文責:獣医師 小川