嘔吐と吐出について

みなさま、こんにちは。

今回は分かりにくい徴候である嘔吐吐出の違いについてお話したいと思います。

嘔吐と吐出ってそれぞれ何?

嘔吐も、吐出も食べたものが口から出てくるというのは同じですが、大きな違いは食べたものが胃に到達しているかどうかです。

つまり、吐出は食道内のものを吐き出すことを指し、嘔吐は胃内のものを吐き出すことを指します。

些細な違いに感じられるかもしれませんが、嘔吐と吐出では病変の場所や病態が大きく異なることも少なくないです。

ですので、飼い主さんにお話を伺う際は、この2つを鑑別できる様に細かく聞き取りをしていきます。

嘔吐と吐出の違いは?

嘔吐と吐出の大まかな違いは次の通りです。

飼い主さんの多くは、ワンちゃん・ネコちゃんが吐いた、という表現をされます。

僕たちは、上記の項目を中心にして、飼い主さんの言う「吐いた」が、嘔吐なのか吐出なのかを見極めていく必要があります。

嘔吐・吐出によって疑う疾患が異なる

飼い主さんのお話と身体検査から、吐出を疑った場合は口腔や喉頭・食道のトラブルを考えます。

一方、嘔吐を疑った場合は消化器疾患やその他、嘔吐を発生させる疾患を考えて検査を進めていきます。

ここで嘔吐か吐出かの鑑別ができていないと見るべきポイントが見られずに検査を進めてしまう可能性があるので、初めにしつこいくらいにお話を聞きます。

嘔吐や吐出で受診する際は、動画を撮影しておくとスムーズ

また、嘔吐であれ吐出であれ、院内で吐くことは少ないので、飼い主さんに動画撮影をお願いして実際に吐く様子と吐いたものを見せていただくことも少なくありません。

動画撮影に関しては以下の記事で詳しく触れているので、参考にしてください。

オススメ!写真・動画撮影

いかがでしょうか。

今回は嘔吐と吐出の違いについてのお話をしました。

意識して見ないと中々分かりにくいのですが、どちらなのかをしっかり鑑別した上で検査を進めていかないと病気の見落としに繋がってしまいます。

嘔吐と吐出を知らなかった方、聞いたことはあるけれど具体的な違いは認識していなかった方がいらっしゃれば、今回のお話を参考にしてワンちゃん・ネコちゃんの日頃の様子を観察していただけると幸いです。

文責:獣医師 小川