SFTS(重症熱性血小板減少症候群)について

みなさま、こんにちは。

今回は近年報告が増え、飼い主さんからも質問されるSFTSについてのお話をしたいと思います。

SFTSってどんな病気?

SFTSはダニが媒介するウイルス性疾患です。

ウイルスを保有するダニに噛まれることで感染が成立し、犬・猫、そして人でも感染例が報告されています

また、感染した犬・猫に噛まれたり血液や体液に触れることでも人が感染する可能性があります。

SFTSウイルスに感染するとどうなるの?

SFTSウイルスに感染すると次のような症状がみられます。

・発熱

・活動性低下

・下痢・嘔吐

・食欲低下

・白血球減少

・血小板減少

・リンパ節腫脹

・神経症状  など

診断は、ダニに吸血される等の経歴がある症例が上記のような症状を起こした場合、血液中のウイルス遺伝子の検出またはウイルスの分離により行われます。

SFTSはどうやって治療するの?

続いて治療です。

SFTSに対する特異的な治療は残念ながら今のところ存在しません

二次感染予防のために抗生剤投与を行なったり、輸液療法を行なったりします。

また、消化器症状や神経症状が認められる場合は、それに対する対症療法を組み合わせます。

また、SFTSが疑われた犬・猫はすべて入院下での治療実施が理想的です。

先述した通り、SFTSは人も感染する人獣共通感染症です。

よって、飼い主さんや同居動物への感染拡大を予防する必要があります。

また、診断後、飼い主さん自身の健康状態を確認し、異常がある場合はすぐに医療機関を受診し、動物がSFTSと診断された旨を申告していただく必要があります。

SFTSから回復し一般状態が改善したら、遺伝子検査で2回の陰性を確認した後に自宅での治療に切り替えます。

ただし、ウイルスの排出が少なからず残存している可能性があるため、さらに1週間ほどは接触の仕方や排泄物の処理方法などの指導を併せて行います。

SFTSは予防がもっとも大切

このように、特異的な治療方法が確立されていないため、最も重要なのが予防です。

SFTSはダニが媒介し感染する病気なので、定期的なダニ予防がとても重要になります。

ノミ・マダニ駆除薬のタイプの違い

特に、亀岡市はダニが非常に多い地域ですので、散歩で草むらに行く場合や、過去に一度でもダニ寄生があった場合、ダニ予防を実施することを強く勧めます。

また、散歩から帰った後に体表面をチェックし、ダニが付着していないかチェックするのも効果的です。

万が一ダニに吸血された場合は引っ張らず速やかに受診を

万が一、ダニが吸血していた場合は、あわてて引っ張ることはしないでください。

吸血中のダニを無理に引っ張ると、ダニの口器が体内に残ってしまい、著しい炎症を起こすことがあります。

動物病院に受診できる状態なら速やかに受診し、そうでない場合は吸血が終わり離れたダニを除去するようにしてください。

この際も、ダニの体液との接触を避けるために、潰さないようにしてください。

そして、なるべく早く動物病院を受診し、ダニに吸血された旨を伝えてください。

恐ろしいダニ!

いかがでしょうか。

今回はSFTSのお話をしました。

毎年のように人での死亡症例や重症症例が報告されており、飼い主さんの認知度も高くなった病気ではないでしょうか。

毎日お散歩に行くワンちゃんの場合は、1年を通してノミ・ダニ予防を実施されている飼い主さんもいらっしゃいます。

今回のお話を機に、今後のノミ・ダニ予防へ意識を向けていただけると幸いです。

 

文責:獣医師 小川