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みなさま、こんにちは。
今日も凄い雨で警報が出ていますね。
土砂災害で大変なことになっている地域もあります。
そこで、今回は災害時に飼い主さん達が出来る備えについてのお話しをしたいと思います。
なお、今回のお話しは環境省が作成している『「災害、あなたとペットは大丈夫?」人とペットの災害対策ガイドライン <一般飼い主編> 』の内容に沿っていますので、こちらも併せてご一読ください。

①予防医療(フィラリア症・ノミ・マダニの予防、ワクチンの定期接種、避妊去勢手術)

飼い主さんが日頃できることとして、まず予防医療をきちんと行なうことが挙げられます。

病気の予防という側面が重要なのはさることながら、予防医療を行なっていないと避難所やペットシェルター等の受け入れが認められない可能性があります。

②日ごろのしつけ
普段からゲージに入ることに慣れさせる、決められた場所で排泄ができるようにトレーニングする、無駄吠えや攻撃的な行動をさせないなど普段できることからコツコツと行ないましょう。
また、猫ちゃんの場合は室内飼育を行なっていないと災害時に行方不明になってしまう可能性が高いので注意していただきたいです。

③ペット用防災バッグの準備
最近ではヒト用の防災バッグを常備していらっしゃるご家庭が増えているかと存じます。
しかし、ペット用の防災バッグも準備しておかないと災害時に困ります。
数日分の食事、水、食器、ペットシーツなどを一まとめにしてヒト用の防災バッグと一緒に置いておくと良いでしょう。

④ペットの一時預け先の確保
指定避難所にペット受け入れの体制が確保されていない、何らかの理由で同行避難が困難である場合に親戚や友人などペットを預けられる先を確保しておくことが望ましいです。

⑤ペットが行方不明にならないような工夫
ワンちゃんの場合、狂犬病接種時に発行される鑑札の装着が義務付けられています。
また、ワンちゃん・ネコちゃんにマイクロチップが入っている場合、迷子になって保護された際に情報が読み取れるので、飼い主さんの元に帰ってこられる可能性が高くなります。

いかがでしょうか。
今回ピックアップしたこと以外にも、ご自宅で災害時に備えた準備をしたりシミュレーションを行なっておくことが望ましいと考えています。
亀岡市では残念ながら2021年3月31日現在、ペット同伴で避難できる避難所は存在せず、避難所の軒下等に係留して対応されているそうです。
亀岡市ホームページ『市長への手紙』参照)

今後、どのように対応が変化していくか分かりませんが、いずれにしてもペットの避難準備を普段からしておくことは重要です。

万が一、避難をしなければいけない状況に陥った時、今回のお話がスムーズな避難の助けになれば幸いです。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。
今回は、ご自宅でのデンタルケアのやり方について解説したいと思います。

「先生、うちの子、口が臭いんです。」
「先生、うちの子、歯石が沢山付いてるんです。」
「これって歯周病ですか?」

はい、歯周病です

歯垢の沈着による歯肉炎、細菌の増殖に伴う口臭、歯肉炎の進行による疼痛・根尖膿瘍・皮膚口腔瘻etc
これら全ての総称が歯周病と呼ばれます。

現在、すでに進行した歯周病になっている子の場合は全身麻酔下で歯石除去や抜歯を行なう必要があります。
しかし、一時的に口の中の環境を良くしても、処置後に何もしなければすぐに再発してしまいます。
そこで重要なのがご自宅でのデンタルケアです。

みなさんは毎日歯を磨きますよね?
磨かない方はごく少数だと思います。

しかし、日頃、飼い主さんとお話ししていて、デンタルケアの習慣があり毎日行なっている飼い主さんは1割に満たないです

今回は、デンタルケアを行なったことがない方や毎日はできていない方などにステップアップの方法をお伝えして、毎日歯磨きが出来るようになるきっかけになればいいなと思っています。

では、実際にデンタルケアを導入していくための方法を順番にご紹介します。

①毎日口の中を触ることを習慣化する
そもそも、ワンちゃん・ネコちゃんは口の中を触られるのを嫌がります。
それを無理やり触りに行ってもますます嫌がられるばかりで関係性が悪化してしまいます。
この段階の子にオススメするのが、食事やオヤツ直前に口を触る方法です。
人間は食後に歯を磨くので、デンタルケアは食後というイメージを持たれている方が多いです。
しかし、ワンちゃん・ネコちゃんの場合は食前でも全く問題ありません。
頑張って口を触られたらご飯がもらえる、このように学習してくれるとデンタルケアの習慣化がとてもはかどります。

②デンタルケアグッズを使い始める
毎日口の中を触る習慣を作れたら、次はデンタルゲアグッズを導入します。
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上記のようなシートやジェルなど使いやすいものを選んで使用します。
ここで注意したいのが、乾いた製品で直接歯ぐきを擦るのは控えてください
歯茎に細かな炎症や傷をつける可能性があります。

③歯ブラシを使い始める
デンタルケアグッズの使用に慣れてきたら、いよいよ歯ブラシの導入を開始します。
色々な歯ブラシが販売されているのですが、必ずコレ!というものはありません。
僕が飼い主さんにアドバイスする点は次の2点です。
・なるべくヘッドが小さいものを使うこと
・毛先がひらいてきたら交換すること
特に小型犬やネコちゃんの口は小さいので、人間の乳児用歯ブラシや単歯用歯ブラシがオススメです。

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デンタルケア導入から歯ブラシ使用までのステップはこんな感じです。
また、歯磨きガムについての質問もよくお受けします。
色々な製品があって、それぞれ使用感は良いのですが、歯磨きガムはあくまでデンタルケアのサポートという位置付けです。
つまり、歯磨きガムを食べていれば歯磨きしなくても大丈夫、ではありません。
使い方としては、歯磨きができた後のご褒美として歯磨きガムを与える、という併用が理想的だと考えています。

いかがでしょうか。
今回は、デンタルケアについてお話しさせていただきました。
診察していて歯周病の遭遇頻度はかなり高いです。
人間と同様、歯周病は進行すると心臓や腎臓などにも影響を与える恐ろしい病気です

これを機に日頃のデンタルケアを始めてみてはいかがでしょうか。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。
今回はワンちゃん・ネコちゃんが食べてしまうと中毒症状を引き起こす食品について解説したいと思います。

犬・猫が中毒を引き起こす食べ物

人間の生活空間にはワンちゃん・ネコちゃんにとって様々な危険が潜んでいます。

特に、食品についてはあっという間に食べてしまったり、片付けておいても探し出して食べてしまったりという事故が後を断ちません。

本日ご紹介する食品は間違いなくどのご家庭にもあるものばかりなので、保管の方法や場所を見直す機会にしていただけると幸いです。

ねぎ類(玉ねぎ、長ねぎ、ニラ、にんにく)など

これはよく知られている食品ですね。

ワンちゃん・ネコちゃんが食べてしまうと、貧血・胃腸炎・赤血球の破壊(溶血という現象です)を引き起こす成分が含まれています。

症状は、元気がなくなる・筋力の低下・赤〜褐色の尿が出るなどです。

食べてすぐに症状が出るケースもあれば、数日経過してから症状が出ることもあるので注意が必要です。

また、この成分は熱で破壊されにくいため、加熱した食品あるいは玉ねぎの味噌汁などでも症状を引き起こしてしまうことも覚えておいてください

チョコレート、カフェイン

これも多くの飼い主さんがご存知だと思います。


ワンちゃん・ネコちゃんが食べてしまった場合、引き起こされる症状はチョコレートの種類・量によって様々です。

主に認められる症状は、嘔吐・下痢・腹痛・高体温・震え・不整脈・痙攣などです。

ミルクチョコレートなどに比べ、カカオ含有量の多いダークチョコレートなどで重篤化するケースが多いです
最近、カカオ含有量の多いチョコレートが流行っているので注意したいですね)。

また、カフェイン入りの飲み物も同様の症状を引き起こす可能性があります。

飲みかけの飲料をワンちゃんの届く範囲に置きっぱなしにしないように注意してください。

ぶどう、レーズンで中毒を起こす犬・猫もいる

これは食べて問題の無い子と、重度の腎障害を引き起こす子がいる不思議な食品です。

症状が出る場合、認められるのは嘔吐・下痢・食欲低下・脱水・尿量の一時増加、その後減少などです。

ぶどうやレーズンを食べてしまった後に、このような症状が出た場合は必ず受診してください。

適切な対症療法を行なわないと、慢性腎臓病になったり急性腎障害で死んでしまうケースもあります。

少量のアルコールも犬・猫には危険

お酒をそのまま飲むワンちゃん・ネコちゃんはまずいないと思いますが、飲料やシロップなどに含まれる少量のアルコールには注意が必要です。

症状は、嘔吐・見当識障害(自分が置かれている状況がわからなくなりパニックに陥ることです)・高体温・過剰なパンティング(口を開けて息が荒い状態です)・震え・痙攣などがあります。

このような症状を認めた場合、対症療法を行ない症状が消失するまでは治療する必要があります。

実は危険!?キシリトールによる犬・猫の中毒

ガムやキャンディ、デンタルケア用品に使われる人工甘味料で、どのご家庭にもあるかと思います。


実はこのキシリトール、とても危険です

ワンちゃん・ネコちゃんが食べてしまうと致死的な低血糖や肝障害を引き起こします。

症状は、嘔吐・痙攣・運動失調などがあります。

注意したいのが中毒を引き起こす摂取量で、小型犬だとキシリトールガム1個で中毒症状を起こす可能性があります

ご家庭で起こる事故として恐ろしいのは、キシリトールガムのボトルを置いているとワンちゃんが齧って中身を食べてしまうケースです。

万が一キシリトール入りの食品を食べてしまった場合は速やかに受診してください。

生のパン生地は犬・猫が摂食後膨張し危険

これは厳密に言うと中毒を引き起こすわけではありませんが注意していただきたい食品です。

パン生地には酵母が含まれており発酵して膨らみます。

食べてしまった場合、胃の中で膨張し胃拡張や腸閉塞等を引き起こす可能性があります。

中毒・閉塞に注意!アボカド

2つの意味で注意したい食品です。

まず、アボカドの可食部を食べてしまった場合、嘔吐・下痢・呼吸困難・痙攣を引き起こす場合があります。

また、中毒症状が発生しなくても脂質が豊富な食品なので吸収不良を引き起こし下痢をすることがあります。

そしてもう1つは種の誤食です。

アボカドの種を丸呑みしてしまうと食道や消化管で閉塞する可能性があります。

骨の誤食は犬・猫の緊急手術に至る場合も

これも中毒を引き起こす食品ではありませんが、誤って食べてしまうと危険です。


骨つきの肉や大きな魚の骨は飲み込んでしまうと食道や胃を傷つける可能性があります。

場合によっては胃や腸を突き抜けてしまい緊急手術が必要なこともあるので要注意です。

特に、ゴミ箱に捨ててあるものを漁って食べてしまうケースを多いようです。

捨てておいてもワンちゃん・ネコちゃんの届く範囲に置いておくのは危険です。

 

いかがでしょうか。

今回取り上げたもの以外にも中毒を起こす食品や危険な食品は存在します。

僕は、原則としてヒトの食べ物をワンちゃん・ネコちゃんに与えないことを強くおすすめします

ただし、ゴミ箱を漁ったり、ふとした拍子に食べてしまう事故はあり得ます。
食べてしまったことが分かったら速やかに受診してください。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。
本日は異物誤食についてお話しさせていただきます。

「うちの子が〇〇を食べてしまったんです!」
こんなお電話をいただくことが多いです。
ワンちゃん、ネコちゃん問わず、異物あるいは中毒性のある食品の誤食は日常生活のどこで発生しても不思議ではありません。
にもかかわらず、生命の危機に直結する場合が多いので注意が必要です。
そこで、本日は異物誤食として報告が多いもの、僕が経験したもので驚いたものをピックアップしてお伝えしてみようと思います。

【布製品、フェルトの切れ端】
最もポピュラーで遭遇機会が多いです。
布製のおもちゃで遊んでいて一部がちぎれたことで誤食してしまった。
靴下や小さなタオルが落ちていて、誤って丸呑みしてしまった。
そして、最近急速に増えているのがマスク(道端によく落ちています)の誤食です!

【プラスチック製のボール、オモチャの欠片】
これも遭遇する機会が多いです。
丸呑みは出来ないサイズのボールやおもちゃでも、使用しているうちに破損し小さくなることで飲み込めるようになってしまいます。
特に、おもちゃに歯を立てて遊ぶ子で発生が多い印象を受けます。

【金属製のアクセサリー】
特に指輪やピアスなどの小さなアクセサリーは、小型犬でも丸呑みできてしまうので要注意です。
レントゲンに映る金属だと、他のものに比べて詳細に形が分かるので衝撃的です。

【フードやオヤツの外袋】
保存しているフードの袋を食い破って盗み食いした際に外袋ごと食べてしまったケース。
あるいは、チュールのようなオヤツを与える際に勢いよく食いつき、外袋ごと飲み込んでしまったケースなどがあります。

【針付き釣り糸】
これは猫で多いです。
釣り用のテグスはしなりがあって猫が好むような糸なのですが、遊んでいるうちに飲み込んでしまうことがあります。
さらに、そこに針がついているケースでは食道や胃に針が引っかかり重篤化してしまう場合もあります。
釣りが趣味で、釣り用品をご自宅に置いてらっしゃる方は要注意です。

【冷却シート】
これは僕が驚いたケースです。
ヒト用のおでこに貼る冷却シートを丸呑みしてしまった子がいました。
中型犬以上ならあり得るかも、と考えていたのですがその子は超小型犬でした。
口のサイズからして、丸呑みは困難と思っていたのですが、実際に吐かせる処置を実施すると、綺麗にそのままの形でシートが出てきました。
未だにどうやって飲み込んだのか謎なのですが、これは無理でしょというものでも飲み込むことがあると勉強になったケースでした。

いかがでしょうか。
今回取り上げたもの以外でも、何故こんなものを飲んだ?というケースが数多くあります。
基本的にワンちゃん・ネコちゃんの生活圏内には誤食の可能性があるものを置かないようにしていただき、万が一誤食してしまった場合は速やかにご連絡ください。

食べてはいけない中毒性のある食品は別の機会に解説しますので、そちらも合わせて参考にしてみてください。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。
今回は理解しにくい用語カタカナ編をお話しさせていただきます。
前回、漢字編についてお話ししましたので、そちらも合わせて参考にしてください。
それでは早速例を挙げて解説していきましょう。

インフォームドコンセント
日本語では、「説明と同意」と表現されます。
獣医師から病気あるいは治療についての説明を受け、飼い主さんが十分に理解し納得した上で同意を得ることを指します。

セカンドオピニオン
現在治療している病気についてあるいはその治療方法について、現在かかっている獣医師とは別の獣医師の意見を聞くことです。
具体的には次のようなケースが考えられます。
治療方法として手術を提案されたが他に方法はないのか知りたい
長期間同じ薬や処置を継続しているが改善する様子がなく、診断や治療方法が正しいのか知りたい
セカンドオピニオンは飼い主さんが持つ当然の権利なので、ご希望される時ははっきりと主治医に申し出てください。

エビデンス
病気を診断するあるいは治療を行う上での根拠のことです。
主に研究報告のデザインによってエビデンスレベルが決められており、原則的にはエビデンスレベルの強い治療が推奨されます。
ただし、例外ももちろん存在するので症例ごとに判断する必要があります。
(エビデンスに関しては別の記事に詳細に記してありますので合わせてご参照ください)

QOL
生活の質あるいは人生の質と訳されます。
人によって抱くイメージがことなりますが、僕は次のように考えています。
「QOLが保たれた生活とは、自分の意思で自分がしたいことを自分がしたいタイミングでできる生活である」
(こちらも詳しくは別の記事で記していますので参考にしてみてください)

ターミナルケア
終末期医療と訳されます。
病気が進行し最期の時を迎える子達が抱える痛みや苦しみを緩和し、少しでもQOLを保った生活が送れる時間を長くしてあげるためのケアです。
ターミナルケアには僕たち獣医師が行なう治療的側面と、飼い主さんにやっていただくケア的側面が存在し、何をどのように組み合わせてやることがその子にとって最良なのかを相談しながら決めていきます。

バイタルサイン
心拍数、呼吸数、体温、血圧、意識レベルのことを指します。
これらが正常値から逸脱していないか、あるいはいつもと比べて数値に変動がないか等をみることでその子の状態を判断します。

ウイルス
生きた宿主の細胞内で増殖する小さな病原体のことです。
用語自体は聞いたことがある方が大半なのですが、細菌との区別がついていないことが多いです。
「風邪の菌が〜」
「インフルエンザ菌が〜〜」
こんな会話を耳にします。
両方とも病原体であるのですが、細菌の治療には適切な抗生剤を使用し一方、ウイルスの治療には抗生剤は使用しません。
細かな違いのように見えるのですが、治療方法が全く異なるのでぜひ覚えておいてください。

今回は理解しにくい用語カタカナ編をお話ししました。
今回紹介したもの以外にも、普段診察や説明を受けている際にわかりにくい表現があればぜひ質問してみてください。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。
本日は、普段僕たちが使う医療用語のうち、飼い主さんが理解しにくい又はイメージしにくいものの解説をさせていただきます。
第1弾として、理解しにくい用語〜漢字編〜を行ないます。

僕たち獣医師は、飼い主さんに病気や治療の説明をする際、可能な限り分かりやすいようにお話をするよう心がけています。
しかし、ふとした拍子に普段飼い主さんが聞き慣れないような言葉を使ってしまうことがあります(僕も多々あります、ごめんなさい・・・)。
これをやってしまうと、多くの飼い主さんは診察室を出てからこうなります。
「先生、説明する時に〇〇って言ってたけど、どういう意味なんだろう?」

最悪ですね

僕たちの仕事はもちろん、病気を診断して治療することです。
ただし、それには飼い主さんが病気と治療の意味を理解する、ということがとても重要になってきます。
にもかかわらず、獣医師は伝えた気になっているが飼い主さんにはきちんと伝わっていない、こんな状況が簡単に発生してしまうのです。
これでは良好な治療が出来ないですし、とくに治療が長期化する病気だと飼い主さんのモチベーションが保てなくなる可能性があります。

そこで今回は、僕たちが普段使う用語で、飼い主さんがイメージしにくいと考えられるものをピックアップして解説してみたいと思います。

寛解:かんかい
病気の症状が一時的に軽くなる、あるいは消失している状態。
あくまでも一時的に症状が無くなっているだけなので、完全に治っているわけではないことに注意。
再発する可能性もあるので定期的な検査が必要。

浸潤:しんじゅん
炎症細胞や腫瘍細胞が周りに広がっていくこと。
水が浸み込むように、周囲に連続性を持って広がっていくイメージ。
似た言葉に『転移』があるが、こちらは腫瘍細胞が連続性を持たない他の臓器に広がることを意味するので使い分けに注意。
イメージは、「浸潤」が周りに腫瘍細胞が染み込んでいく、「転移」が腫瘍細胞が飛び火して離れた臓器に広がる、こんな感じです。

誤嚥:ごえん
ものを食べたり飲んだりする時に飲食物が食道ではなく気管に入ってしまうこと。
期間に飲食物が入ると、体はそれを押し戻そうとして激しく咳き込みます。
また、寝たきりの子の場合、嘔吐物が気管に入ってしまうことで誤嚥を引き起こすこともあるので注意したいです。

生検:せいけん
病変の一部を針やハサミ、メスなどを用いて採取し、顕微鏡などで観察する検査です。
実施する際は鎮静や麻酔が必要な場合もあります。
正確な診断を得るために必要な検査で、結果がでるまでに数日〜数週間かかります。

化学療法:かがくりょうほう
薬を使って行なうがんの治療法のことです。
注射、内服など様々な方法で薬を投与し、体の中で増殖しているがん細胞を壊したり増殖を抑えたりします。

頓服:とんぷく
症状が出ている時あるいは強い時にのみ薬を飲む、という投与方法です。
この飲み方で症状がコントロールできない場合は、1日〇〇回飲むという投与方法に変更する可能性があります。

対症療法:たいしょうりょうほう
病気の原因を取り除くのではなく、病気によって生じている痛みや苦しみを和らげる又はなくす治療方法です。
病気の原因は存在し続けるので、対症療法の効果はあくまで一時的であることに注意する必要があります。

有害事象:ゆうがいじしょう
医薬品の使用により生じる全ての好ましくない有害な反応のことです。
有害事象には薬の作用との因果関係は関係ありません。
これと混同しやすいのが「副作用」という言葉です。
副作用は、薬の使用によって生じた反応のうち狙っていた作用(これを主作用と言います)以外の全ての作用のことを指します。
副作用は薬の使用との因果関係があり、必ずしも全てが好ましくない作用ではない点が有害事象との違いです。


有害事象:ステロイドの使用により糖尿病を発症
副作用:ステロイドの使用により低下していた食欲が意図せず上昇
こんな感じです。

既往歴:きおうれき
これまでに罹ったことのある病気や実施した手術などの記録のことです。
これから治療する病気の治療方法の選択や、現在抱えている病気を診断するための重要な材料になります。

予後:よご
今後の病状についての見通しのことです。
病気の進行度合い、治療の効果、生存できる確率などの意味を含んだ言葉です。

合併症:がっぺいしょう
ある病気が原因で生じる別の病気のことです。


糖尿病の合併症で白内障が発生

一般状態:いっぱんじょうたい
全身状態とも呼ばれ、患者の全般的な健康状態のことを意味します。
身長、体重、体格などの測定値や心拍数、呼吸数、体温、血圧などのバイタルサイン、あるいは五感を通して得られる所見をもとに判断します。

いかがでしょうか。
今回取り上げた用語以外にもイメージがしにくいものはたくさんあります。
これらの用語をなるべく伝わる形でお話しするのが僕たちの課題ですね。

今回は理解しにくい用語のうち漢字編をお話ししました。
また、別の機会でカタカナ編も行なう予定ですので、ぜひ参考にしてください。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。
本日は、QOLについてお話しさせていただきます。
「QOLの向上を治療の目標に〜」
「QOL低下が認められたら治療強度の変更を〜」
このような会話を耳にする機会があるかと思います。
ヒトの医療では、治療におけるQOLの概念や重要性が広く根付いている印象を受けます。
そして、QOLの重要性は我々獣医師が行なう獣医療においてもヒトと同じ、あるいはそれ以上に理解されるべきだと考えています。

まずは、そもそもQOLとはなんなのか、というお話しからです。

QOL=Quality Of Lifeの略で、生活の質あるいは人生の質と訳されます。
漠然とした言葉なので人によって抱くイメージが異なると思います。
僕は、QOLが保たれた生活とは自分の意思で自分がしたいことを自分がしたいタイミングで出来る生活だと考えています。

病気の治療を行う際、病気の進行による痛みや苦しみ、あるいは治療によって生じる痛みや苦しみ(薬の副作用など)と向き合う必要があります。
この時、僕たち獣医師が考えることが、その子のQOLを少しでも改善することです。

・アトピー性皮膚炎で痒くて夜も寝られない
→痒みを止めることで自分が寝たいタイミングで寝られるようにする

・腎機能低下が進行して食欲が出ない、嘔吐する
→嘔吐を管理し、治療することで自分が食べたい時にご飯を食べられるようにする

・腫瘍の化学療法で副作用が強く出る
→化学療法剤の特性を理解し、副作用が出るタイミングを予測して予防的な投薬を行ない、得られる治療効果は最大に、副作用は最小にできるよう心がける。

・ステージの進行した腫瘍で痛みや食欲不振が強い
→鎮痛薬を使い、痛みの緩和をする。それでも食欲が出なければ食欲増進作用のある治療を組み合わせる。

QOL上昇や維持を考えた治療の例を挙げてみました。

ワンちゃんやネコちゃんはヒトと違い、自分の不調を言葉にしてくれません。
よって、その子たちのQOLについて我々獣医師や飼い主さんが注意深く観察し、汲み取ってあげる必要があります。
これが、獣医療におけるQOLの重要性が理解されるべき最大の理由だと考えています。

今回はQOLのお話をしました。
ワンちゃん、ネコちゃんのQOLを保つことは飼い主さん達のQOL向上にも直結します

自分で話してくれない子達が何に苦しみ、何を訴えているのか。
その気持ちに寄り添えるように日々努力します。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。
本日は夏になると増える皮膚疾患の中から浅在性膿皮症についてお話しさせていただきます。
まずは膿皮症ってなに?というところから解説していきます。
膿皮症とは、皮膚に常在している細菌(特にブドウ球菌)が増殖することで生じる皮膚疾患です。
皮膚のどの部分(あるいはどの深さ)で生じるかで症状が異なるのですが、今回はもっとも頻繁に遭遇する浅在性膿皮症についてお話しします。

表皮小環紅斑

脱毛斑丘疹

 

上のような皮膚の症状を一度は目にしたことがないでしょうか。
すべて膿皮症でみられる皮疹紅斑表皮小環脱毛斑丘疹etc)です。
表皮表面で細菌が増えれば表皮小環や紅斑、毛穴で増えれば脱毛斑や丘疹、というようにバラエティに富んだ症状をみせる病気ですが全て起こっていることは同じです。
ただし、このような症状がある=全て膿皮症ではありません
必ず他の皮膚疾患を鑑別する必要があります
鑑別の方法としては、皮表細胞診、皮膚掻爬検査、毛検査などを実施します。
この検査でブドウ球菌の増殖が確認できれば膿皮症と診断することができます。

次に、浅在性膿皮症の治療についてお話しします。
治療は主に2つの側面から実施します。
一つは適切な抗生剤の投与
もう一つはシャンプーをメインにしたスキンケアです。
僕はこの2つを組み合わせた治療プランを提案することが多いです。
しかし、最近では、膿皮症が限定的ならシャンプー療法のみで治療する、という報告も増えているので症例ごとに治療の適用を考えます。
また、治療終了のタイミングも重要です。
僕は治療を進めて、皮疹が完全に消失した日から1週間は抗生剤を飲み続けるようにお話ししています
先ほども述べたように、膿皮症は皮膚に常在している細菌の増殖が原因で起こる病気です。

ですので、見かけの症状が消えても原因となる細菌は消失することはありません。
症状が消えたと同時に内服を休止すると容易に症状が再発するので、このプラス1週間が重要になってきます。
また、同じ理由で、治療後もシャンプーをある程度続けていただくように指導することもあります。

今回は浅在性膿皮症のお話しをさせていただきました。
夏に増える皮膚疾患のうち、もっともよく遭遇する疾患でありながら容易に再発する、重症化すると治療が長期的になるなど中々厄介なヤツです。
皮膚疾患は見た目の変化が観察しやすいので、飼い主さんが発見しやすい病気です
今回お伝えしたような特徴的な皮疹、あるいは皮膚に気になる点を見つけた場合は早めに獣医師にご相談ください。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。
本日は、いよいよダイエットの方法についてお話しさせていただきたいと思います。
とはいえ、何も特別なことはしません。
ごく当たり前のことを毎日根気よく続けるのみです。
何をするか?適切な食事制限です。

「最近お散歩に行けてないから、運動不足で太ったのかしら?」
よく聞かれます。本当によく聞かれます。
ですが、これはほぼあり得ないです。
確かに、運動をすることで筋肉を維持することは非常に重要です。
ですが、散歩等の運動によるカロリー消費だけで体重を落とすのは非常に困難です。
やはり重要になってくるのが食事制限です。
ダイエットを考えており、食事制限をするケースとして様々なパターンが想定されるので順番に解説していきたいと思います。
① 食事量が決まっておらず、おやつや人間の食べ物を食べているケース
肥満の子の多くはここに該当します。
まずはおやつと人間の食べ物を与えるのをやめましょう。
そして、一日に食べる食事の量(グラム数)を決めましょう。
食事量はBCSに基づいた適正体重で決定しますので一度獣医師にご相談ください
今までおやつを食べる習慣があり、それをやめることが困難な場合はおやつの代わりにフードを与えるようにしてください。
一日の総摂取カロリーを決めてしまえば、そのなかでどのように分割するかは飼い主さんの自由にしていただいて構いません。
② 食事量は決まっているが、おやつや人間の食べ物を食べているケース
このパターンも非常に多く目にします。
やることは①と同様で、まずはBCSに基づいた食事量を決めます。
次に、おやつと人間の食べ物を与えるのをやめましょう。
また、おやつをあげていると一括りにしてみても様々な状況があります。
中でも多いのが、ご家族の誰かがこっそりおやつを与えているパターンです。
普段、病院に来ていただいている飼い主さんは獣医師が直接指導をするのでダイエットの重要性を十分認識して頂けるのですが、他のご家族に中々伝わりづらいことがあります。
ご家族全員で情報を共有しダイエットへ意識を向けられるようにしましょう。
③ 食事量は決まっており、おやつも人間の食べ物も与えていないケース
このパターンで厄介なのが決めている食事量が多すぎる場合です。
いくら食事量を決めていても、その量が必要量を上回っている場合、ダイエットは進みません。
BCSに基づいた一日の食事量を設定して体重の推移を観察しましょう。
④ 適切な食事量を設定し、おやつも人間の食べ物も与えていない場合
このパターンは少し解釈が難しくなります。
一般的なフードの組成はバランスを考えて作られています。
ところが、ダイエットをしないといけない子にとって理想的な組成は高タンパク、高食物繊維、低脂肪です。
通常のフードではこれを満たせないがためにダイエットが進まないケースがあるので、その場合は減量用のフードへの切り替えを指導します。
その子の現在のBCSや目標体重等を設定して減量プログラムを決定するので、一度獣医師にご相談ください。
⑤ 減量用フードに切り替えているが体重が落ちない場合
このパターンは疾患が隠れている可能性があります。
甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症などの基礎疾患の存在が原因で体重が落ちない場合があります。
この場合は、疾患の鑑別をするために検査を進めていきます。

今回はダイエットの進め方と食事制限のパターンについてお話しさせていただきました。
最後に、ダイエットをする上で最も大事なのは、焦らないということです。
1ヶ月で劇的に体重が落ちることなどありません。
『継続は力なり』
何をするにしても、この一言に尽きますね。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。

本日は肥満と疾患の関係についてお話しさせていただきます。

 

人間も健康診断で腹囲の上昇を指摘されることに怯えます。

メタボを指摘されることに怯えます。

なぜ怯えるのでしょう?

それは、肥満が病気、とくに生活習慣病の原因になることが知られているからです。

この構図、そのままワンちゃん・ネコちゃんに当てはまります。

 

過去の研究報告で知られているものとして、次のような病気があります。

循環器疾患僧帽弁閉鎖不全症などの疾患の増悪因子になる

呼吸器疾患軟口蓋過長症気管虚脱などのコントロールが困難になる

関節疾患:過体重による疾患発生リスクの上昇、コントロール困難

下部尿路疾患尿結石症の発生リスク上昇

皮膚疾患アトピー性皮膚炎等の痒みのコントロール困難を招く

内分泌疾患糖尿病の発生リスク上昇

その他:手術時の麻酔リスク上昇

 

これらの病気は非常によく遭遇する病気でありながら、コントロールが取れないと著しく生活の質が下がり、生死に関わる可能性があります。

逆に、肥満から脱却することで病気の発生リスク・増悪化のリスクを軽減できるのならダイエットしない手はないですね。

 

今回は肥満と疾患の関係についてお話しさせていただきました。

太っていて丸いフォルムの子達は見ていると可愛いのですが、病気になったり病気のコントロールができなくては元も子もありません。

 

次回はダイエットの方法についてお話しさせていただきますので、合わせてご確認ください。

 

文責:獣医師 小川