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みなさま、こんにちは。

今回は甲状腺機能亢進症の解説をしていきたいと思います。

甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)って何?

前回解説した甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの分泌が減ることで様々な症状が発生する病気でしたが、今回の甲状腺機能亢進症は反対に甲状腺ホルモンの分泌が亢進することで様々な病態が発生する病気です。

甲状腺機能低下症について

甲状腺機能亢進症は高齢の猫に多く見られる

この病気は高齢の猫での発生が多く、症状は以下のものが挙げられます。

・体重減少

・食欲増進or食欲低下(どちらも起こり得ます)

・活動性の亢進

・多飲多尿

・嘔吐や下痢

・多食

・毛がバサバサになる

これらは甲状腺ホルモンの分泌が増えることで発生します。

また、血液検査でALT、ALPという肝酵素の上昇を認めた場合も甲状腺機能亢進症を鑑別診断に加えます。

甲状腺機能亢進症はどうやって分かるの?

次に診断です。

前述した臨床症状や血液検査の結果から甲状腺機能亢進症を疑った際は、甲状腺ホルモンの測定(血液検査)を実施します。

この検査で甲状腺ホルモンの値が高値であれば甲状腺機能亢進症と診断し治療に進みます。

甲状腺機能亢進症はどうやって治療するの?

治療については主に内科治療外科治療の2種類が存在します。

この病気、特に猫の甲状腺機能亢進症は甲状腺の過形成・腺腫・腺癌が原因で生じるケースが多いことが知られています。

これらの甲状腺の病変が過剰にホルモンを分泌する結果、様々な症状を引き起こします。

内科療法では、このホルモンの合成を抑制するお薬を投与して臨床症状の改善を狙います。

1日1回の投与から始め、臨床症状の改善・副作用の発生・甲状腺ホルモンの値などをチェックしながら投与量を調節します。

この治療でも改善が得られない、あるいは甲状腺腫瘤が悪性腫瘍の可能性がある場合は外科治療が適用となります。

多くのケースで甲状腺の左右いずれかに病変を形成するので、患側の腫瘤切除を実施します。

また、術後に甲状腺ホルモン高値が続いていないか、逆に低値になっていないかをモニタリングし、内科治療に引き継ぐケースもあります。

甲状腺機能亢進症で気を付けたいポイント

ここで、甲状腺機能亢進症を診断・治療する上で気をつけたいポイントを一つ紹介します。

前述したように甲状腺機能亢進症は高齢猫での発生が多い病気です。

そして、高齢猫で最も多く併発している疾患が慢性腎臓病です。

慢性腎臓病が進行してくると食欲不振や嘔吐、脱水、体重減少などの臨床症状が目立ってきます。

しかし、甲状腺機能亢進症を併発している場合、食欲が増進しているケースだと慢性腎臓病の存在に気づいていない可能性があります。

そんな猫が甲状腺機能亢進症の治療を開始した後に一気に食欲不振に陥り、その段階で慢性腎臓病を併発していることに気づく、というイメージです。

猫の甲状腺機能亢進症、とくに高齢猫の場合は併発疾患として慢性腎臓病が存在していることを想定しながら検査・治療に臨む必要があります。

甲状腺機能亢進症を治療しないとどうなるの?

甲状腺機能亢進症を治療しないとどうなるのでしょうか?

前述したように、すぐに生命維持に関わる疾患ではありませんが、臨床症状が出ている場合はそれが継続してしまいます。

また、慢性腎臓病が隠れているケースではそちらも進行してしまうので脱水や体重減少が進行してしまいます

さらに、甲状腺腫瘤が大型の場合は徐々に大きくなることで呼吸障害や皮膚障害が発生するケースもあります。

いずれにしても、診断した段階で治療介入することを強くオススメします。

いかがでしょうか?

前回に引き続き内分泌疾患を取り上げて解説しました。

内分泌疾患は臨床症状と病気を結びつけるのが飼い主さんにとって難しいのではないかと考えています。

今後も様々な病気を取り上げて可能な限り分かりやすく解説していきますので、思い当たるかな?と感じられた方は一度ご相談ください。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。

今回は甲状腺機能低下症について解説していきます。

甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)ってどんな病気?

まず、甲状腺機能低下症とはどんな病気でしょう?

主に中高齢のワンちゃんでみられる病気で、頸部にある甲状腺から出るホルモンが少なくなってしまう病気です。

甲状腺から出るホルモンが減少すると以下のような臨床症状が認められます。

・食欲は変わらないor減少するが体重が増える

・脱毛

・活動性が減少する

・気だるそうな顔つきになる

・外耳炎

・皮膚がベタベタする

・尻尾の毛が抜ける

・まれに、虚脱・低体温・昏睡などを引き起こす粘液水腫性昏睡の発生

とくに皮膚の状況の変化や活動性の減少は顕著に認められることが多いため注意して観察すべき項目です。

また、これらの変化は他の内分泌疾患でも認められるため、鑑別診断も同時に進める場合もあります。

甲状腺機能低下症はどうやって分かるの?

次に診断です。

甲状腺機能低下症を疑った場合、まずは院内で計測可能な甲状腺ホルモンの測定を実施します。これは数十分で結果が分かる血液検査です。

臨床症状が合致し、甲状腺ホルモンが低値であった場合、甲状腺機能低下症を疑います。

ただし、甲状腺ホルモンは他の疾患が存在する場合や投薬の影響を受けて低値になるケースもあるため、より詳細に調べるためには外部の検査センターに血液を提出して診断を進めます。

甲状腺機能低下症はどうやって治療するの?

検査の結果、甲状腺機能低下症を疑った場合、治療に進みます。

治療は基本的に内科療法を行ないます。

つまり、十分量放出されていない甲状腺ホルモンをお薬として投与することで補充してやるという方法です。

はじめに低用量から投与を開始し、一定の間隔で甲状腺ホルモンの値をモニタリングします。

その数値と臨床症状が改善しているかを目安にして投与量を決定し投薬を継続します。

この治療はホルモンを補充することが目的なので、基本的に生涯に渡り投薬を継続します。途中で休薬や投与量の調節を行なうケースもありますが、この場合もホルモンの測定結果と臨床症状を指標にして慎重に行ないます。

いかがでしょうか?

前回に引き続き、中高齢のワンちゃんでよく遭遇する内分泌疾患である甲状腺機能低下症についてのお話をさせていただきました。

この病気も、皮膚疾患のコントロールや体重管理がうまくいかない時に基礎疾患として隠れていることが多い病気の一つで、同時に治療していかないと他の病気の治療が成立しない厄介な病気です。

前述した臨床症状に合致するワンちゃん、あるいは年齢的に心配なワンちゃんは一度ご相談ください。

健康診断時などに普段測定している項目に加えて、甲状腺ホルモンの測定が実施可能です。

これから暖かくなってくると皮膚疾患が増えてきます。

今回のお話が、その時期に差し掛かる前に基礎疾患を見つけ出す手がかりになってくれると幸いです。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。

今回はワンちゃん、特に中高齢以降のワンちゃんで最も頻繁に遭遇する内分泌疾患であるクッシング症候群について解説したいと思います。

クッシング症候群ってどんな病気?

まずはクッシング症候群とはどのような病気でしょう?

この病気は副腎皮質という場所から分泌されるコルチゾールというホルモンが過剰になってしまうことによって引き起こされます。

原因は主に次の2つです

①脳の下垂体という場所の過形成または腫瘍

②副腎腫瘍

いずれの場合もコルチゾールが過剰に産生されることでさまざまな症状が認められます。

診察時のクッシング症候群チェックポイント

僕たちが問診や身体検査でチェックするのは次のようなポイントです。

チェックポイント

・皮膚が薄くなる

・毛が薄くなったりベタつく

・お腹周りだけ大きくなる

・筋肉量が落ちる

・息が上がりやすくなる

・動きたがらなくなる

・お水を飲む量が増えおしっこの量が増える

・食欲が増える

・感染症(皮膚が多い)を繰り返すor治療反応が悪い

年齢に加え、これらのポイントに当てはまる場合、クッシング症候群の可能性を常に考えます。

クッシング症候群はどうやってわかるの?

次に診断です。

まずは、実際にコルチゾールの値が高いのか、そしてクッシング症候群の可能性があるのかを調べるためにACTH刺激試験という検査を行ないます。

これは、下垂体から副腎に対してコルチゾール分泌を促すためのホルモン(ACTH)を注射で投与することで過剰にコルチゾールが分泌される状態が再現されるかを調べる検査です。

同時に腹部超音波検査で副腎腫瘍の有無を検査します。

これによって下垂体性or副腎性の鑑別を行ないます。

この検査でクッシング症候群の可能性が高いと判断した場合、治療に進みます。

クッシング症候群の治療について

治療には内科的治療と外科的治療があります。

内服薬でクッシング症候群を治療する

内科的治療では、副腎皮質からのコルチゾール分泌を抑制する薬を使用します。

初めは低用量から服用を開始し、コルチゾール値をモニタリングしながら用量を決定していきます。

大半の症例がこの内科治療でコントロールが可能で、治療開始前に認められていた症状に改善があるかを観察していきます。

また、内科治療を行なう上で気をつけなければいけないのが、この薬は基本的に生涯飲み続ける必要があるということです。

コルチゾールの過剰分泌をコントロールするために薬を飲んでいるので、やめてしまうとコルチゾール値が上昇し症状が再び現れます。

例外的に途中で休薬するケースもありますが、基本的にずっと飲み続ける必要があることを治療開始前に必ず飼い主さんにお伝えしています。

外科でクッシング症候群を治療する方法

続いて外科的治療です。

内科治療を実施したがコントロールができない、腫瘍の存在によりクッシング症候群以外の問題が生じている等の状況で外科治療を検討します。

外科治療を行なう場合、特に下垂体に対しての治療を想定する場合はMRI検査が必要となる可能性が高いため、適切な二次診療施設への紹介受診を進めていきます。

また、下垂体に対しての治療では外科だけでなく放射線治療も選択肢に含まれます。

これも含め、二次施設の獣医師、飼い主さん、主治医が連携して治療プランを決定していきます。

いかがでしょうか。

クッシング症候群は内分泌疾患の中では遭遇する機会が多いポピュラーな病気です。

しかし、皮膚症状が治りにくい・体重が落ちにくいなどの症状は『この子、前からこんな感じだから』と気づかれていないケースが多いように感じます。

クッシング症候群は、アトピー性皮膚炎や糖尿病、骨関節炎などの疾患を併発している場合、非常にやっかいな病気です。

いくら病気の治療をしていても、基礎疾患であるクッシング症候群のコントロールができていないと治療がうまくいかないことが多々あります。

中高齢以降のワンちゃんで、今回のお話に当てはまっているかな、と思われる方は一度ご相談ください。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。

今回は問題行動のうちご相談を受けることが多い、関心を求める行動について解説していきたいと思います。

ワンちゃん・ネコちゃんの関心を求める行動ってなに?

まずは、関心を求める行動とは具体的にどのような行動なのでしょうか。

その名の通り、飼い主さんの関心を得ようとするための行動で以下のようなものが挙げられます。

・鳴く

・前肢で叩く

・うろうろ動き回る

・掘る

・後追いする

・過剰に目で追う

・警戒する

・突進する

・物を盗んだりねだったりしてクンクン鳴く

・歯を立てて噛む

特徴としては、上記のような行動を示した直後あるいは最中に、飼い主さんが反応を示すことでますます行動が強化されていくことです。

関心を求める行動はなぜ起こるの?

次に診断です。

まずは他に身体的疾患がないか鑑別を行ないます。

身体的疾患がないならば、常同障害を含む他の行動学上の問題との鑑別を進めます。

常同障害とは

過度なグルーミングや尻尾追いなど、ストレス等が原因で発現する症状。
今回の記事で紹介している「関心を求める行動」としばしば同じ行動がみられる場合が多い。

特に常同障害は行動が類似することがあるので紛らわしいのですが、以下のポイントで鑑別を行ないます。

①犬だけにした場合、問題となる行動が発現しない。常同障害であれば犬だけにしても行動が発現する。

→定点カメラなどで観察が可能であれば診断の補助になります。

②飼い主さんが関心を示すことで問題となる行動発現の可能性が増大する。

→常同障害であれば飼い主さんの反応や対応に関係なく行動が発現し続けます。

ワンちゃん・ネコちゃんの関心を求める行動の治療法は?

いよいよ治療方針です。

治療のメインを担うのが行動修正法という方法です。

これは飼い主さんとその子の日頃の関わり方を詳しく聴取し、問題行動の発現・強化につながる因子を排除・修正するというものです。

つまり、僕たち獣医師は話を聞いてプランを指示し改善が得られたかを伺うだけで、治療の主役は飼い主さんであるというのが最大のポイントです。

具体的には以下のような物を提案していきます。

①刺激制御

問題行動を引き起こすきっかけとなる刺激がある場合、積極的に排除していきます。

例:飼い主さんがおかしを食べると前肢で叩く行動が発現する。

→ワンちゃんの目の前でおかしを食べないようにする。

②正の強化子の排除

問題行動に対して正の強化子(行動を強めてしまう反応となる因子)になる物を排除していきます。

例:吠えて関心を求めるワンちゃんに対し、見ない・声をかけない・部屋から出る、という対応をする。

→ここで「ダメ」と声をかけたり、押し退ける行動を飼い主さんが行なうと、反応してもらえたという正の強化子として認識されてしまう。

この方法は、関心を求められている対象である方以外のご家族も注意する必要があります。

つまり、他の飼い主さんがこの状況でワンちゃんに声をかけたり、かまってしまうと正の強化子として認識され行動が強化されてしまうからです。

これは治療開始前に必ず飼い主さんにお伝えし、ご家族やワンちゃんと触れ合う可能性のある方と情報共有することの重要性を認識していただいています。

③負の罰の使用

まず大前提として、叱責・叩くなどの罰の使用は心身ともにダメージを与える可能性が高いので絶対に行ないません

加えて、前述した通り叱責等は正の強化子にもなり得るので、行動を強化する可能性があり、行うべきではありません。

では、何が負の罰になるでしょうか?

この場合は「楽しいことが取り去られる」という状況を負の罰として使用できます。

例:吠えて関心を引こうとしたら、飼い主さんが別の部屋に行ってしまう。

→ワンちゃんが行動を示すことで望ましくない結果が生じるために、行動の減少が期待できます。

この場合も気をつけるのが、反応を見せないことです。

吠えたら飼い主さんにかまってもらえず、いなくなってしまうという状況を作り出すことで行動を修正していきます。

④飼い主さんとの関係の再構築

飼い主さんとワンちゃんがいつ、どのようにしてかかわるかのルール決めです。

以下のようなルールを飼い主さんと相談しながら決定していきます。

・かかわる際は常に飼い主さんがワンちゃんの気を引くことから開始し、終了も飼い主さんが行なう。

→ワンちゃんが要求して遊ぶという状況を作らないようにします。

・飼い主さんはワンちゃんが静かに落ち着いているときにだけ関心を向ける。

→静かにしていないと関心を向けてもらえないことを学習させます。

また、飼い主さんが関心を向ける条件として、お座りなどの課題をこなす等を設定するのも効果的です。

・遊ぶ時間を決める。

→毎日の遊びの時間を決めることで、その時間を待つ・日課が完了すると満足感を得るようになることを期待します。

ただし、これは飼い主さんの生活リズムもあるので適用できるかを初めに話し合います。

もう一つの治療法としての薬物療法

最後に、薬物療法についてです。

僕は、他の問題行動を併発していない限り薬剤は使用しません。

逆に、薬剤が必要なほど問題行動が改善しないのであれば診断を見直す必要があると考えます。

いかがでしょうか?

今回のお話は、日頃の診察時によく相談を受けます。

多くの飼い主さんが叱責等で、行動を強化してしまっている印象を受けるので詳細にお話させていただきました。

問題行動の行動修正は飼い主さんが手を動かしてもらう場面が大半なので、飼い主さんが治療の主役である意識を持って取り組んでいただけると幸いです。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。

今回はよくご相談を受ける状況の一つで、陰茎が包皮内に返納できずに舐める・咬む・痛そうというトラブルについて解説したいと思います。

これは主にワンちゃんが遭遇するトラブルです。

飼い主さんと遊んでいたり、散歩時に他のワンちゃんと遊んで興奮した際に陰茎が勃起し、包皮内から亀頭部が露出することがあります。

その後、問題なく包皮内に陰茎が納まってくれることが大半なのですが、陰茎とくに亀頭部が引っかかって返納されないケースがたまにあります。

この状態だと亀頭部の粘膜が乾燥してしまうのと、亀頭部が鬱血して腫れてくるのでますます返納しにくくなり痛みも強くなっていきます。

ワンちゃんの陰茎を包皮内に返納するコツ

このような場合に陰茎を包皮内に返納するコツを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

①まずは陰茎を包皮内から完全に露出させる

どうしても、包皮を亀頭側に引っ張って戻そうとしてしまいがちなのですが、引っかかっているのでうまく返納されません。

この時、陰茎の根本を抑えながら包皮を尾側にずらしていくと露出させやすいです。

②完全に陰茎が露出されたらゆっくり頭側に包皮を戻していく。

亀頭部が鬱血している場合は露出させて少し待つと鬱血が和らぐので戻しやすくなります。

この時、包皮と陰茎の間に潤滑剤を塗ってやると返納がスムーズに行なえます。

院内で処置する際はグリセリンを用いるのですが、ご自宅では白色ワセリンや少量のオリーブオイルでも代用が可能です。

③完全に返納ができたのを確認したらしばらく安静にする。

せっかく戻すことができても、すぐに興奮させてしまうと再び陰茎が露出してしまう可能性があります。

とくに、返納直後は亀頭部の鬱血が残存しているので再度露出しやすくなっています。

ここまでがスムーズに実施されれば大きな問題となることは少ないです。

しかし、陰茎が露出したまま放置してしまったり、飼い主さんが気付かずに時間が経過してしまった場合は粘膜の損傷や亀頭包皮炎の発生を招き、重症化すると陰茎壊死を引き起こします。

陰茎壊死を起こしてしまった場合、範囲にもよりますが陰茎切除と尿路変更という手術が必要となります。

重症化させないためにも飼い主さんには注意深く観察していただきたいです。

病気によってワンちゃんの陰茎が包皮に戻らない場合もある

さて、ここまでは一時的な勃起状態によって包皮内への返納が困難になってしまうケースについてお話してきましたが、病的に勃起状態が持続してしまうケースも存在します。

これを持続勃起症または陰茎強直症と呼び、性的刺激に関係なく長時間にわたって勃起が持続し包皮内に陰茎が戻らない状態を指します。

主に仙髄や骨盤神経の損傷、全身麻酔の合併症、血栓塞栓症、薬剤の投与などが原因で生じることが報告されています。

このケースでは前述した包皮内への返納法を試みても、勃起状態が持続しているので陰茎が包皮外に露出した状態が続いてしまいます。

まれに薬剤の投与で改善する場合もあるのですが、大半が亀頭部の壊死を起こし前述した手術の適応となります。

いかがでしょうか。

頻発するトラブルではないのですが、一度発生すると繰り返し起こってしまうケースにたびたび遭遇します。

また、初発時に飼い主さんがどうすればよいか分からずパニックになりがちな問題です。

実際、今回ご紹介した方法を飼い主さんにレクチャーし、ご自宅で上手に管理をしていただいているワンちゃんもいます。

今回のお話が飼い主さんの手助けになれば幸いです。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。

今回は肢端舐性皮膚炎のお話をしたいと思います。

肢端舐性皮膚炎(したんしせいひふえん)って何?

まず、難しい表現の仕方をしましたが、手足の先を舐める、舐めて皮膚炎が起きている状態を指す言葉です。

『うちの子、よく手先を舐めてるんです。アレルギーでしょうか?』

この質問は本当によく聞かれます。

確かにアレルギー性皮膚炎で肢端を舐めているケースもあるのですが、原因がそれだけとは限りません。

今回は、足先を舐める状態の子を診察した時にどのような可能性を頭に浮かべているか、解説していきます。

①感染症

細菌や真菌、外部寄生虫などの感染により肢端に痛みや痒みが生じている場合、執拗に舐める・噛むという行動が認められることがあります。

皮膚を丁寧に観察し感染症が疑われる場合、皮膚の細胞診や毛検査を実施します。

感染症が確定した場合、適切な治療を実施していきます。

ただし、皮膚の感染症は基礎疾患(アトピー性皮膚炎、副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症etc)に続発して生じるケースが多いので、その場合は基礎疾患の特定と治療も同時に行ないます。

②掻痒(かゆみ)を起こす疾患

アトピー性皮膚炎や食物アレルギー、または外部寄生虫に対するアレルギーなど全身性の掻痒感を起こす病気の場合も肢端を舐める可能性があります。

痒みのコントロールのために内服薬や外用剤の使用、スキンケア、外部寄生虫の駆除を実施して症状が改善されるか経過を観察します。

③疼痛(いたみ)を起こす疾患

関節炎や腫瘍など、肢端に痛みを伴う場合も舐めるという行動が発生する可能性があります。

特に関節に一致する部位ばかりを舐める場合や、舐めている場所に腫れやしこりがある場合は上記の疾患を鑑別するために細胞診検査や画像検査を実施します。

④心因性

①〜③が否定された時に考えられるのがこれです。

飼育環境(居住スペース、散歩や遊びの時間、同居犬・猫の有無、飼い主さんが留守の時間など)や発症時期の環境の変化(家族構成、引越しなど)を詳しく聴取し環境の改善から実施します。

その後も改善が認められなければ行動修正療法を開始。

さらにコントロール困難な状況が続けば抗不安薬やサプリメントの併用も行ないます。

僕の経験上、④の心因性が最もよく遭遇します。

そして、心因性の場合は治療期間が長期にわたり、飼い主さんにも根気良く環境の改善や観察を行なっていただく必要があります

いかがでしょうか?

今回はとてもよく相談を受ける『肢端を舐めるんです』という状態についてお話をしました。

舐める行為は単回であれば、すぐに皮膚に障害を与えるものではありません。

しかし、長期化するとよだれ焼けや皮膚炎、二次的な感染症を引き起こしてしまいます。

さまざまな原因で肢端を舐めるという行為が発生し、そこに向き合う必要があることを知っていただけると幸いです。

気になる際は一度受診のうえ、必要に応じて検査等を受けていただくことをおすすめします。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。

今回は逆くしゃみについて解説したいと思います。

逆くしゃみって何?

まず、逆くしゃみとは何でしょう?

教科書には『鼻咽頭背側の粘膜に刺激が与えられた時に生じる強い吸気努力を伴った行動』と記載されています。

これだとイメージしにくいので、『頑張って息を吸おうとしている状態』だと思ってください。

つまり、毛づくろいや飲水・食事などで粘膜に刺激が与えられることで一時的に起こる症状です。

逆くしゃみは咳や嘔吐とどう違うの?

次に、逆くしゃみと咳・嘔吐の見分け方についてです。

まずは、咳です。

咳は『強い排出性の呼気』という行動なので、頑張って息を吸っている逆くしゃみとは空気の方向が反対です。

しかし、一見すると分かりにくい場合もあります。

この場合、口に注目して観察してみてください。

咳が出ている時は多くの場合、口が開いています。

一方、逆くしゃみの場合は口が閉じていることがほとんどです。

ただし、猫の場合は咳をするときも口を閉じていることが多いので、より詳細な観察が必要です。

続いて、嘔吐です。

消化管の内容物を体外に吐き出した場合は鑑別は容易です。

しかし、嘔吐の予備動作だけ生じて結局吐かなかった場合は少し見分けるのが難しい場合があります。

この時、注目してほしいのが腹筋です。

嘔吐をする際、腹筋を上下に動かす予備動作(この時にオエオエと言っています)を行った後に消化管内容物を吐き出します。

逆くしゃみの際は腹筋を動員して動作してはいないので、ここで鑑別ができるケースが多いです。

逆くしゃみは治療が必要なの?

ところで、逆くしゃみは治療が必要でしょうか?

この質問をよく受けるのですが、基本的に治療は必要ないケースがほとんどです。

前述したように、逆くしゃみは粘膜刺激に対する体の生理的な反応なので、この行動が発生すること自体は病気ではありません。

実際に、逆くしゃみが発生しても何もしなくてもすぐに止まるケースがほとんどです。

どうしても止めたい場合は、喉を優しく撫でて唾液を嚥下させたり、水を飲ませることで止まるケースもあります。

逆くしゃみでもこんな場合は要注意!

ただし、例外があります。

・今まで逆くしゃみを起こしたことがない子が突然、逆くしゃみをし始めた場合

・以前から逆くしゃみはしていたが、頻度がとても増えたor他の異常な呼吸様式がある場合

この2つです。

これらが認められる場合、鼻咽頭粘膜を刺激するような病変が新たに発生している可能性や、他の呼吸器疾患の悪化に伴って逆くしゃみが発生するようになった可能性を考える必要があります。

ご不安な場合は受診のうえ獣医師に相談されることをおすすめします。

いかがでしょうか?

今回は逆くしゃみについてお話しました。

飼い主さんからもよく聞かれる症状なのですが、なかなか言葉で説明しにくいのでやっかいです。

別の記事でも触れたのですが、ご自宅で気になる症状が認められる場合、動画撮影をしていただくと得られる情報がとても増えます。

オススメ!写真・動画撮影

1回きりの症状だと撮影が難しいですが、よくみかけて気になっているものの場合、撮影にトライしてみてください。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。

今回は春から予防の始まるフィラリア症について解説をしていきたいと思います。

フィラリア症ってどんな病気?

まず、フィラリア症とはそもそもどんな病気でしょう?

フィラリア症は、犬糸状虫症(いぬしじょうちゅうしょう)とも呼ばれます。

蚊が媒介する犬糸状虫が寄生する疾患で、初めは幼虫が血管内で成長し、やがて成虫になって心臓に寄生する、というサイクルを辿ります。

フィラリア症にかかるとどうなるの?

心臓の中では主に肺動脈という場所に寄生するのですが、これにより肺動脈が傷害されたり血栓が形成されたりして徐々に血流動態に影響を及ぼします。

また、肺動脈に寄生していた成虫が突然心臓内に移動して急激な全身状態の悪化を起こすケースもあり、これを大静脈症候群と呼びます。

犬糸状虫症の症状はこの肺動脈障害と血流動態への影響により発生します。

具体的には、咳が出る、動きが悪くなる、血尿が出る、呼吸困難、腹水がたまるなどです。

また、大静脈症候群の際はこれらが急激に発症します。

フィラリア症を予防するには?

次にフィラリア症の予防についてです。

当院が実施している予防方法は次のようなステップです。

① 4-5月に昨年度の予防実態に応じて必要な血液検査を実施

② フィラリア症に罹患していないことを確認したら5月〜12月の8ヶ月間、毎月1回薬を服用もしくは滴下する

③ 1月〜4月は休薬期間

これを毎年繰り返します。

フィラリア症予防が5月~12月なのはなぜ?

ここで、予防期間の設定を5〜12月の8ヶ月間にしている理由を解説します。

まず、蚊の生態からです。

前述した通り、フィラリア症は蚊の吸血によって媒介される感染症です。

蚊は気温が16℃を超えると吸血行動をすることが知られています。

よって、夏が過ぎて秋に入っても暖かい日があるとフィラリア症を媒介する可能性があります

フィラリアの薬は厳密には予防薬ではなく駆虫薬

次に、予防薬についてです。

フィラリア症の『予防薬』と表現されますが、実際はフィラリア幼虫を駆除するための駆除薬です。

つまり、投与日から先の予防効果を発揮するのではなく、投与日に仮に感染していてフィラリア幼虫が血管内にいた場合に、それを駆除するという効果を発揮しています。

最終投与を12月に設定しているのは、11月中に気温が16℃を超える日があった場合、蚊に吸血されている可能性があり、そこでの感染に対して駆除を行うには12月に薬を投与する必要があるからです。

フィラリアの予防前に血液検査が必要なのはなぜ?

また、毎シーズン予防開始前に血液検査を行う理由についても解説します。

前述した通り、フィラリア幼虫は血管内に寄生し成長します。

この時、幼虫は宿主(寄生されている動物のことです)の免疫から逃れるので、免疫細胞は幼虫を駆除する動きを起こしません。

しかし、駆除薬によって血管内の幼虫が死んだ場合、死骸は異物として免疫細胞に処理されます。

すなわち、大量に幼虫が寄生している状態で駆除薬が投与されると、過剰な免疫応答が発生し、アナフィラキシーショックを起こし、最悪の場合、亡くなってしまう可能性もあります。

これを防ぐために、予防薬投与前に必ず検査を実施します。

(ただし、通年で予防をしていたり、12ヶ月有効な予防薬を投与されている場合はこの限りではありません)

フィラリアのお薬はどんなタイプがあるの?

次に、予防薬の剤型についてです。

さまざまなフィラリア予防薬が開発され、各社それぞれ特徴的な製品があります。

当院で扱っているのは主に、チュアブルタイプ、錠剤タイプ、スポットオンタイプの3種類です。

これらを投与のしやすさ、投与による有害事象の発生などを踏まえた上で選択して使用します。

また、それぞれ体重によって規格が設定されているので、成長期の子や体重の変動がある子の場合は体重測定をしに来ていただくケースもあります。

実は犬だけじゃない!猫のフィラリア症

最後に、猫のフィラリア症についてです。

『犬糸状虫症』という名前ですが、猫もこの病気にかかります。

ただし、猫の体内ではフィラリアの発育が悪く、犬のような典型的な症状を示さないことが多いです。

しかし、猫では症状を起こさずに感染が成立し、突然死が発生した症例も報告されているため決して侮ってはいけない病気です。

犬と同様、猫でも適切な予防を実施することをおすすめします。

いかがでしょうか。

飼い主さんの予防意識の上昇とともに、以前よりは発生件数が減ってきたフィラリア症ですが、まだまだ目にします。

春になったらフィラリア予防が始まるな、ということを認識していただいている飼い主さんに今回の記事を読んでいただき、予防する上で知っておきたい情報が伝えられれば幸いです。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。

今回のテーマは鼻血です。

人間にとって鼻血は頻繁に遭遇するものなので、鼻血が出てもすぐに疾患の可能性を考えることは少ないかと思います。

しかし、ワンちゃん・ネコちゃんが鼻血を出した時、僕たち獣医師は必ず疾患の存在を考えながら診察します。

今回は、ワンちゃん・ネコちゃんが鼻血を出した時にどんな病気が考えられるかを中心に解説していきます。

ワンちゃん・ネコちゃんの鼻血の原因

まず、鼻血が出る原因を大きく分類すると、

  1. 鼻腔内に問題がある
  2. 口腔内に問題がある
  3. その他

この3つに分けられます。

1のケースが最も遭遇したくないもので、鑑別していく病気としては次のようなものが挙げられます。

鼻腔内腫瘍

犬では腺癌、猫ではリンパ腫という腫瘍がよく発生します。

進行すると顔面の外貌が変化するので気づきやすいのですが、初期病変の段階だと外から見ていても分からないケースが多いです。

鼻血が出て鼻腔内を検査してみて発見されるケースもあります。

感染症(細菌、真菌、ウイルス、クリプトコッカスetc)

感染初期はくしゃみや鼻汁の増加がみられるが、長期化するにつれて炎症が重篤になり骨や周囲組織の破壊を起こすケースがあります。

鼻腔内腫瘍と見間違うほど組織破壊を起こす場合もあるので、感染の有無をしっかり調べて鑑別します。

異物(植物片や小さなオモチャ、吐物など)

食後、おもちゃで遊んだ後、散歩後など鼻腔内に異物が侵入してくしゃみや鼻水が止まらなくなるケースがあります。

多くは、この段階で鼻腔洗浄して摘出するのですが、まれに異物が取り残されたまま症状が治まってしまうケースがあります。

こうなると、異物の周囲で炎症が進行し強い症状が再発するとともに鼻出血を起こすケースがあります。

2のケース(口腔内に問題がある)の場合は、具体的に以下のように分類されます。

重度の歯周病、歯根膿瘍の鼻腔への波及

軽度から重度まで、歯周病を抱えている子は非常に多いです。

その中でも重症化した歯周病の場合、炎症や感染が周囲組織に波及するケースがあります。

鼻腔内に炎症や感染が波及すると、膿のような鼻汁が出たりくしゃみが増えたりすると同時に鼻出血を認めるケースがあります。

(ただし、これはいきなり鮮血が出るわけではなく、血液混じりの鼻汁が増えるイメージです。)

口腔腫瘍の鼻腔への浸潤

これは鼻の周囲の腫瘍全てで起こり得ます。

特に口腔腫瘍と眼の腫瘍は鼻に広がることが多いので注意深くチェックします。

鼻血が出るその他の原因は具体的に以下の通りです。

高血圧

腎疾患や心疾患を持っている子の場合は鑑別に入れる必要大です。

とくに、進行した高血圧症の場合、鼻血だけではなく網膜剥離や出血を起こすケースもあるので速やかに降圧剤使用を検討します。

凝固機能異常

出血が止まりにくい疾患を持っていると鼻血が頻繁に出ることがあります。

このケースでは鼻血だけでなく、全身の皮下や粘膜下での出血を認めることがあるので口腔粘膜や被毛の薄い部分の皮膚を丁寧に観察していきます。

 

いかがでしょうか。

人間にとって鼻血は止血して止まったらオッケーという位置づけかと思われます(僕自身もそう考えています)。

もちろん、ワンちゃんやネコちゃんも鼻をぶつけて鼻血を出すこともあります。

しかし、実は疾患を抱えていることのサインであるケースが多いです。

鼻血が出ているのをみた場合、とくに繰り返す場合は一度診察を受けてください。

 

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。

今回はご自宅で行なう目のケアについて解説したいと思います。

特徴別!おうちでワンちゃん・ネコちゃんの目のケアをするポイント

まず、みなさまはワンちゃん・ネコちゃんの目のケアをされていますか?

眼疾患や外傷などがない限り目のケアをせずとも大丈夫な子がいる一方、目脂や涙焼けなどを丁寧にケアする必要がある子もいます。

今回はいくつかのパターンに対して行なって欲しい目のケアと、見るべきポイントについてお話していきます。

①普段、目脂も涙もあまり目立たない子

→実施するケアは特になく、目脂が出ていたらお湯で濡らしたコットンを用いて拭き取ってあげてください。爪で目脂を引っ掛けて取り除いたり、乾いたティッシュで擦り取るというお話を聞くのですが、眼球や皮膚を傷つける可能性があるので、お湯で濡らしてゆっくり拭き取ってあげてください。

このケースでは、目がいつも通りであるのを日々観察することが最も重要です。

どちらかの目を気にして足や床で擦っていないか、目が開きにくそうでないか、結膜や目の周囲が赤く腫れていないか、目が白濁していないか、などをチェックしいつもと違うと感じたら診察を受けてください。

②普段から目脂が多い、涙が多い子

→これは特に短頭種のワンちゃん・ネコちゃんで多いトラブルです。

鼻涙管狭窄や異所性睫毛などさまざまな要因で流れる涙の量が増え、目の周囲の毛が変色したり皮膚炎を起こしたりします。

このケースでは①よりもこまめに涙や目脂を拭き取ってやる必要があります。

用いるのはコットンとお湯、または涙焼け用のワイプで目の周囲を拭きます。

当院ではこのような涙やけワイプ使用しています。

ワイプで涙やけを拭き取った後は、別途拭き取る必要もなく普段からのケアにも取り入れやすいのがメリットです。

この処置を行ない、涙焼けや流涙がある程度コントロールできていれば継続します。

しかし、これを続けていてもずっと目を気にしたり、涙焼けで眼周囲の皮膚損傷が強くなる場合は原因疾患の治療を提案します。

③結膜浮腫・流涙・目脂が間欠的に発生する子

→これは猫のウイルス性角結膜炎で頻繁に遭遇するパターンです。

猫はヘルペスウイルスの感染によってウイルス性鼻気管炎や角結膜炎を引き起こします。

これらは治療によって一旦症状が治るのですが、ヘルペスウイルスは体内で潜伏感染します。そして、時折増殖して症状を引き起こします。

このケースでは、まずその子がウイルス感染を疑う症状を過去に起こしていたかどうか確認します。

仮に、過去に症状があった場合は、ストレスや免疫抑制などによってウイルスの増殖が起こると同様の症状が発生します。

これを飼い主さんに認識して普段の様子を観察してもらい、症状が出たらその都度治療を行ないます。

④以前に角膜を損傷したことがある子

→これは喧嘩による外傷や、短頭種の場合、日常生活を送っているだけで角膜にものがぶつかってしまう可能性があります。

一度、角膜を損傷すると打撲痕が残存したり、角膜に血管が侵入して違和感が残るケースがあります。そうすると、目を気にして擦り付ける動作が増えてしまうので、常に目に障害が発生する危険性が増えてしまいます。

この場合、角膜保護剤を点眼したりエリザベスカラーを装着して目を擦る動作自体をコントロールする必要があります。

しかし、管理が長期化することがほとんどですので、短頭種や活動性の高い子は目を傷つけないように生活環境や家具の配置などを見直す指導を行ないます。

いかがでしょうか?

今回お示しした以外にも様々な眼疾患が存在し、それぞれに応じた治療をする必要があります。

最も重要なのは、日頃のケアを実施しながら目の様子を日々観察することです。

そこで違和感や状態の変化に気づいたら早めに受診し、診察を受けてください。

 

文責:獣医師 小川