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みなさま、こんにちは。
本日はワンちゃんの嘔吐、とくに空腹時に見られる嘔吐についてお話ししたいと思います。

「うちの子、たまに朝ご飯前に黄色い泡を吐くんです。でもご飯も食べるし元気なんです。」

とても頻繁に相談を受けます。

ヒトは生理現象としての嘔吐が無いので、嘔吐=病気というイメージが強いです。
しかし、ワンちゃんは嘔吐が生理現象に含まれる動物です。
とくにこの空腹時に起こる嘔吐はどんな子でも発生しうる現象です。

犬の嘔吐はなぜ起こるの?

そこで、今回は空腹時に嘔吐が起こるメカニズムと対策について、さらに嘔吐を引き起こす他の病気との鑑別について解説していきます。

犬の嘔吐の黄色い泡は胃酸と胆汁

まずは、この黄色い泡はそもそもなんでしょう。
これは胃酸と胆汁が混ざり合ったものです。

胆汁とは肝臓で生成されるアルカリ性の消化液で胆嚢という臓器に貯められます。
そして、胆嚢が収縮することで十二指腸に分泌され消化が進みます。

空腹時に胆汁が分泌されてしまうと、一部が胃に逆流し酸性の液体である胃酸と混ざってしまいます。

この刺激により嘔吐が誘発され、黄色い胆汁と無色の胃酸が混じり合った黄色い泡を吐き出します。
つまり、酸性とアルカリ性の液体が混ざってしまうために起こる反応なので、吐いた後は何事もなかったかのようにご飯を食べることができます。

空腹時間の短縮が嘔吐予防のコツ

では次に空腹時の嘔吐を予防するためのポイントを解説します。
考え方はシンプルで、空腹時間をなるべく短縮することです。

現在、1日2食で嘔吐が発生するのなら1日3食にしたり間食を挟んでみたりして嘔吐の発生頻度が減らせるか試してみます。

また、朝ご飯の直前に吐くのなら、夜寝る前に少量のご飯を与えるのも効果的です。
ただし、1日のトータル摂取カロリーをあらかじめ決め、それを分割しないと肥満になってしまうので注意してください

空腹時以外の犬の嘔吐の原因は?

次に、空腹時の嘔吐なのか他の原因で吐いているのかの鑑別についてお話しします。

嘔吐は様々なメカニズムで引き起こされます。

その中には一刻も早く治療介入をしないと命に関わる病気も含まれます。
(異物誤食、胃拡張捻転症候群など)

前述したように、空腹時に黄色い泡を吐くが元気でその後食事をとっているケースは胆汁性嘔吐を疑うので基本的に無治療で経過観察します。

放置は危険!こんな犬の嘔吐時はすぐに受診を

しかし、次のような症状の場合は治療介入が必要な病気を疑うので、必ず早めに動物病院を受診するようにしてください。

・吐いた後元気がなく食欲がない

・吐いたものに血液が混ざっている

・消化しきれていないフードを吐く

・下痢を伴っている

・何回も吐き、吐くものがなくなっても嘔吐の仕草が続く

・異物の誤食に心当たりがある

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これらに該当する場合は、嘔吐の原因を診断し適切な治療を行なう必要があります。

いかがでしょうか。
空腹時に嘔吐が発生する現象をご存知の飼い主さんは多いかと思います。
ただし、嘔吐を起こす原因は多岐に渡ります。

「この子、よく吐くしいつものやつでしょ。」

これで様子を見てしまうと、取り返しのつかないことになる場合があります。

ワンちゃんが吐いた時、判断に困るようでしたら早めの受診をおすすめします。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。
今回は老齢犬の認知機能障害についてお話ししようと思います。
みなさんは認知症と聞くとどんなイメージをお持ちでしょうか?

・徘徊して迷子になる
・食事をした直後なのに食事を要求する
・粗相をしてしまう
・よく知っている人を認識できない

などが挙がるかと思います。

実は、ワンちゃんも認知機能障害を発症し上記のような症状を引き起こすことがあります。
しかし、老齢犬は認知機能障害以外にもさまざまな疾患を引き起こす可能性があるため、ご自宅で見ているだけでは判断に困るケースが多いかと思います。
そこで、認知機能障害を診断するポイント、さらに治療する際に僕が重要視しているポイントを挙げて解説していきます。

僕たちが認知機能障害を診断する際は、前述の臨床症状や行動の変化を聴取しその他の疾患との鑑別を行なっていきます。
その際に、次のような診断基準方法を用いることが多いです。

犬痴呆の診断基準法

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※犬痴呆の診断基準 内野式100点法

この診断基準を元に認知機能障害が疑わしいのか、他の疾患の鑑別を進めるべきなのか判断していきます。

次に、治療についてです。
現在のところ、残念ながら認知機能障害に対する決定的な治療法はありません。
よって、治療の目的は病態の進行をなるべく遅らせることと、ワンちゃんと飼い主さんのQOLを維持・向上させることになります。
そのために、以下のような方法を組み合わせ、何を行なっていくかを飼い主さんと相談して決定していきます。

①行動療法
僕はこれが最も重要だと考えており、飼い主さんに最も取り組んで欲しい項目です。
実際に行うことは次の3つから始めます。

⑴叱責しない
前述したように、認知機能障害のワンちゃんは徘徊したり、不適切な排尿をしてしまいます。
ただし、これはわざと行なっているわけではありません。
つまり、それに対し叱責しても行動が改善されることはなく逆にストレスを与えることで認知機能障害の症状がより強く現れる悪循環に陥ります。
まずは、決して叱責しないことが重要です。

⑵生活環境の改善
認知機能障害のワンちゃんは徘徊したり、同じところをぐるぐる旋回したりという行動を示す場合があります。
その際に、転んだり目線の高さにあるものにぶつかるようならば滑り止めや緩衝材を使ってあげてください。
また、頻繁に家具の配置移動を行うとワンちゃんが混乱し不安が増える可能性があるため、模様替えやトイレの位置移動はなるべく控えてあげてください。
最後に、きちんとトイレができた時などは目一杯褒めてあげてください
同時にご褒美としてオヤツを与えるのも効果的です。

⑶心身への刺激を与える
体も精神も使わないと、ますます動かなくなってしまいます
体への刺激は、お散歩にいくのが好きな子ならば無理のない範囲でお散歩をさせてあげてください。
頭(脳)への刺激はパズルフィーダーや知育トイなどのツールを利用すると良いです。
特にオヤツを用いたパズルフィーダーは自作することも可能で、飼い主さんと触れ合う機会にもなるので積極的に導入を勧めています。

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KONG®︎

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Busy Buddy®︎のTwist’n Treat™️およびDumbbell

 

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ペットボトルを利用したパズルフィーダー

 

※緑書房『犬と猫の神経病学各論編』より引用

 

②栄養療法
認知機能障害のわんちゃんに対して次のような栄養素を取り入れることが重要視されています。
・ビタミンE
・ビタミンC
・セレニウム
・L-カルニチン
・ω3不飽和脂肪酸(DHAやEPA)
これらが組み込まれたフードやサプリメントの使用を組み合わせてコントロールする場合も多いです。
フードやサプリメント使用に関しては獣医師とご相談ください。

③薬剤療法
繰り返しになりますが、認知機能障害の根本的な治療方法は未だに確立されていません。
よって、薬物療法の目的は問題行動によって飼い主さんとワンちゃんのQOLが低下すると判断した際に、それを維持・向上することに限定されます。
こちらに関しては、行動療法や栄養療法をすでに実施しているが改善が認められない時に考慮する方法です。
僕は、初めから薬物療法のみを行うのではなく、前述した2つを先に実施あるいは同時に行なうことを飼い主さんにお話ししています。

いかがでしょうか。
認知機能障害は治療という側面とケアという側面を併せ持った病気です。
時に根気よく行動療法や環境の改善を続け、ゆっくりワンちゃんと向き合う必要があります。
認知機能障害の治療では、飼い主さんとチームになり、飼い主さんが治療を担う一員であることを認識していただくのがとても重要だと考えています。

今回のお話が、認知機能障害のワンちゃんとすでに向き合っている飼い主さんや、将来的にケアが必要となる方々にとって参考になれば幸いです。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。
今回はダニが媒介する病気のうちヒトにもうつる病気について解説したいと思います。

ダニは何処にでも生息しており、とくにお散歩で草むらや茂みの中に入るワンちゃんは付着・吸血されるリスクが非常に高いです
ダニに吸血されると、ワンちゃん自体が被害を受けるだけでなく、ヒトの生活環境にダニが入り込むことでヒトの健康被害が発生する可能性があるのです。
最近、ニュースなどでSFTSの話題がたびたび取り上げられ、質問を頂く機会が増えました。
そこで、SFTSも含めてダニが媒介する病気を紹介し、ダニ予防の重要性を改めてお伝えできれば、と考えています。
なお、今回のお話をするにあたり、厚生労働省および国立感染症研究所のホームページを参考にさせていただきましたので、興味がおありの方はそちらも併せてチェックしてみてください。

厚生労働省ホームページ

国立感染症研究所ホームページ

 

①重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
ブニヤウイルス科フレボウイルス属の重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome: SFTS)ウイルスによる感染症である。
主にSFTSウイルスを保有するマダニに刺咬されることで感染する。
潜伏期間は6~14日。
発熱、消化器症状(嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、下血)を主徴とし、時に、頭痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節腫脹、出血症状などを伴う。
血液所見では、血小板減少(10万/mm3未満)、白血球減少(4000/mm3未満)、血清酵素(AST、ALT、LDH)の上昇が認められる。
致死率は10~30%程度である。

②日本紅斑熱
日本紅斑熱リケッチアを保有するマダニ(キチマダニ、フタトゲチマダニなど)に刺されることで感染する。
刺されてから2~8日頃から頭痛、全身倦怠感、高熱などを伴って発症する。
刺し口を見つけることは診断の助けとなる。
高熱とほぼ同時に紅色の斑丘疹が手足など末梢部から求心性に多発する。
リンパ節腫脹はあまりみられない。
CRP陽性、白血球減少、血小板減少、肝機能異常などはつつが虫病と同様であるが、つつが虫病に比べDICなど重症化しやすい。

③ツツガムシ病
つつが虫病リケッチアを保有するツツガムシに刺されて5~14日の潜伏期の後に、全身倦怠感、食欲不振とともに頭痛、悪寒、発熱などを伴って発症する。
体温は段階的に上昇し数日で40℃にも達する。
刺し口は皮膚の柔らかい隠れた部分に多い。
刺し口の所属リンパ節は発熱する前頃から次第に腫脹する。
第3~4病日より不定型の発疹が出現するが、発疹は顔面、体幹に多く四肢には少ない。テトラサイクリン系の有効な抗菌薬による治療が適切に行われると劇的に症状の改善がみられる。
重症になると肺炎や脳炎症状を来す。北海道、沖縄など一部の地域を除いて全国で発生がみられる。
発生時期は春~初夏及び晩秋から冬であるが、媒介ツツガムシの生息地域によって異なる。

④ダニ媒介脳炎
フラビウイルス科フラビウイルス属に属するダニ媒介脳炎ウイルスによる感染症であり、中央ヨーロッパダニ媒介脳炎とロシア春夏脳炎の2型に分けられる。
自然界ではマダニとげっ歯類との間に感染環が維持されているが、マダニでは経卵伝播もありうる。
ヒトへの感染は主にマダニの刺咬によるが、ヤギの乳の飲用によることもある。
潜伏期間は通常7~14日である。
中央ヨーロッパ型では、発熱、筋肉痛などのインフルエンザ様症状が出現し、2~4日間続く。
症例の三分の一では、その後数日経って第II期に入り、髄膜脳炎を生じて痙攣、眩暈、知覚異常などを呈する。
致死率は1~2%であるが、神経学的後遺症が10~20%にみられる。
ロシア春夏脳炎では、突然に高度の頭痛、発熱、悪心、羞明などで発症し、その後順調に回復する例もあるが、他では髄膜脳炎に進展し、項部硬直、痙攣、精神症状、頚部や上肢の弛緩性麻痺などがみられる。
致死率は20%に上り、生残者の30~40%では神経学的後遺症を来たす。

⑤ライム病
マダニ(Ixodes属)刺咬により媒介されるスピロヘータ(ライム病ボレリア;Borrelia burgdorferi sensu lato)感染症である。
感染初期(stageI)には、マダニ刺咬部を中心として限局性に特徴的な遊走性紅斑を呈することが多い。
随伴症状として、筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、悪寒、全身倦怠感などのインフルエンザ様症状を伴うこともある。
紅斑の出現期間は数日から数週間といわれ、形状は環状紅斑又は均一性紅斑がほとんどである。
播種期(stageII)には、体内循環を介して病原体が全身性に拡散する。
これに伴い、皮膚症状、神経症状、心疾患、眼症状、関節炎、筋肉炎など多彩な症状が見られる。
感染から数か月ないし数年を経て、慢性期(stageIII)に移行する。
患者は播種期の症状に加えて、重度の皮膚症状、関節炎などを示すといわれる。
本邦では、慢性期に移行したとみられる症例は現在のところ報告されていない。
症状としては、慢性萎縮性肢端皮膚炎、慢性関節炎、慢性脳脊髄炎などがあげられる。

⑥ロッキー山紅斑熱
紅斑熱群リケッチアに属するロッキー山紅斑熱リケッチア(Rickettsia rickettsii)による感染症である。
自然界ではダニ、げっ歯類、大動物(イヌなど)の間で感染環が維持されている。
ヒトへの感染はダニの刺咬による。
潜伏期間は3~12日であり、頭痛、全身倦怠感、高熱などで発症する。
通常、つつが虫病などでみられるような刺し口は生じない。
高熱とほぼ同時に、紅色の斑丘疹が手足などの末梢部から求心性に多発し、部位によっては点状出血を伴う。
ときにリンパ節腫脹がみられる。
その後、中枢神経系症状、不整脈、乏尿、ショックなどの合併症を呈する。
診断・治療の遅れ、高齢者、発疹がみられない、ダニの刺咬歴がある、冬季の発症などでは、致死率が高い。

恐ろしいですね。
太字の病気は国内での発生が報告されているものです。
特にSFTSと日本紅斑熱は近年、報告件数が増加しています

冒頭でもお話しした通り、ダニ予防を行なうことで、これらの病気に罹患するリスクを軽減することができます。
予防薬には様々なタイプがあるので、一度獣医師に相談してみてください。

今回のお話が、病気の理解と予防の重要性を認識する助けになれば幸いです。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。
今回は犬アトピー性皮膚炎についての解説を行なっていきます。
そもそも、犬アトピー性皮膚炎とはどんな病気でしょう?

犬アトピー性皮膚炎は室内生息のダニや花粉などの環境中のアレルゲン(これを抗原と呼びます)に対して過剰に免疫反応が起こることで引き起こされる病気です。
また、遺伝子が関与していることも明らかになってきており、発症しやすい犬種も知られています。
日本では、柴犬・フレンチブルドッグ・シーズー・トイプードル・ウエストハイランドホワイトテリアなどが好発犬種です。
比較的若いうちから発症し、年齢を重ねるごとに一年中症状が続くようになるケースが多いです。
症状はズバリ『痒み』です。

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※痒みが出やすい部位

犬のかゆみ.comより引用

それに続いて皮膚炎や2次的な感染症を引き起こし良くなったり悪くなったりを繰り返します。
つまり、治る病気ではなくコントロールして上手に付き合っていく体質と捉えていただくと良いかもしれません。

では、どのようにコントロールをしていけば良いのでしょうか?
ポイントは2つです。
1つは適切なかゆみ止めの選択
もう一つはスキンケアの併用です。

まず、かゆみ止めの選択ですが、これが正解!というものではなく現在の状態に応じて選択していき、状況に応じて変えていく必要があると考えています。
また、内服薬以外にも外用剤や注射薬もあるので薬を飲ませるのが大変な子や、患部を触らせてくれない子に対する治療の選択肢も用意することができます。
(実際に注射薬が日本で発売になってとても助かっています)

つぎにスキンケアの重要性です。

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犬のかゆみ.comより引用

僕は飼い主さんに皮膚の役割をお話しするときに、皮膚は水分を保持するためのラップみたいなものです、という例えを用います。
このラップがきれいに張られていると水分が保持される、表面からの感染が抑えられるといった働きがきちんと行われます。
では、アトピー性皮膚炎の子の皮膚はどのような状況かというと、このラップに穴が空いている状態です。
そうすると、水分の保持が出来ない、感染症を引き起こしやすくなる、痒いので掻いて更に穴が広がっていくという悪循環が続きます。
つまり、かゆみ止めでかゆみだけ止めても、皮膚の環境が悪いままだとコントロールがうまくいかないケースが多いのです。
これがスキンケアが重要である理由です。
スキンケアの方法はシャンプーや保湿剤、脂肪酸の塗布やサプリメントなどさまざまなものがあり、これもその子の状態に応じて必要なものを組み合わせていきます。

いかがでしょうか。
冒頭でもお話しした通り、アトピー性皮膚炎は上手に付き合っていく体質です。
ですので、治療は生涯にわたって必要になるケースが多いです。
よって、治療に携わるチームのメインとなるのはその子と過ごす時間が最も長い方、つまり飼い主さんなのです。
僕たち獣医師は病院に来てもらった際に診察して、コントロールが取れているかチェックする役割に過ぎません。
あくまで、実際に手を動かして頑張ってもらっているのは飼い主さんです。
飼い主さんのモチベーションを保つためにも、犬アトピー性皮膚炎という病気について、またそのコントロールに重要なポイントについてお話しさせていただきました。

痒みを抱えている子の飼い主さん、またはすでに治療を行なっているけれどコントロールが困難な子の飼い主さんは一度診察に来ていただきお話しを聞かせていただければ幸いです。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。
今日も凄い雨で警報が出ていますね。
土砂災害で大変なことになっている地域もあります。
そこで、今回は災害時に飼い主さん達が出来る備えについてのお話しをしたいと思います。
なお、今回のお話しは環境省が作成している『「災害、あなたとペットは大丈夫?」人とペットの災害対策ガイドライン <一般飼い主編> 』の内容に沿っていますので、こちらも併せてご一読ください。

①予防医療(フィラリア症・ノミ・マダニの予防、ワクチンの定期接種、避妊去勢手術)

飼い主さんが日頃できることとして、まず予防医療をきちんと行なうことが挙げられます。

病気の予防という側面が重要なのはさることながら、予防医療を行なっていないと避難所やペットシェルター等の受け入れが認められない可能性があります。

②日ごろのしつけ
普段からゲージに入ることに慣れさせる、決められた場所で排泄ができるようにトレーニングする、無駄吠えや攻撃的な行動をさせないなど普段できることからコツコツと行ないましょう。
また、猫ちゃんの場合は室内飼育を行なっていないと災害時に行方不明になってしまう可能性が高いので注意していただきたいです。

③ペット用防災バッグの準備
最近ではヒト用の防災バッグを常備していらっしゃるご家庭が増えているかと存じます。
しかし、ペット用の防災バッグも準備しておかないと災害時に困ります。
数日分の食事、水、食器、ペットシーツなどを一まとめにしてヒト用の防災バッグと一緒に置いておくと良いでしょう。

④ペットの一時預け先の確保
指定避難所にペット受け入れの体制が確保されていない、何らかの理由で同行避難が困難である場合に親戚や友人などペットを預けられる先を確保しておくことが望ましいです。

⑤ペットが行方不明にならないような工夫
ワンちゃんの場合、狂犬病接種時に発行される鑑札の装着が義務付けられています。
また、ワンちゃん・ネコちゃんにマイクロチップが入っている場合、迷子になって保護された際に情報が読み取れるので、飼い主さんの元に帰ってこられる可能性が高くなります。

いかがでしょうか。
今回ピックアップしたこと以外にも、ご自宅で災害時に備えた準備をしたりシミュレーションを行なっておくことが望ましいと考えています。
亀岡市では残念ながら2021年3月31日現在、ペット同伴で避難できる避難所は存在せず、避難所の軒下等に係留して対応されているそうです。
亀岡市ホームページ『市長への手紙』参照)

今後、どのように対応が変化していくか分かりませんが、いずれにしてもペットの避難準備を普段からしておくことは重要です。

万が一、避難をしなければいけない状況に陥った時、今回のお話がスムーズな避難の助けになれば幸いです。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。
今回は、ご自宅でのデンタルケアのやり方について解説したいと思います。

「先生、うちの子、口が臭いんです。」
「先生、うちの子、歯石が沢山付いてるんです。」
「これって歯周病ですか?」

はい、歯周病です

歯垢の沈着による歯肉炎、細菌の増殖に伴う口臭、歯肉炎の進行による疼痛・根尖膿瘍・皮膚口腔瘻etc
これら全ての総称が歯周病と呼ばれます。

現在、すでに進行した歯周病になっている子の場合は全身麻酔下で歯石除去や抜歯を行なう必要があります。
しかし、一時的に口の中の環境を良くしても、処置後に何もしなければすぐに再発してしまいます。
そこで重要なのがご自宅でのデンタルケアです。

みなさんは毎日歯を磨きますよね?
磨かない方はごく少数だと思います。

しかし、日頃、飼い主さんとお話ししていて、デンタルケアの習慣があり毎日行なっている飼い主さんは1割に満たないです

今回は、デンタルケアを行なったことがない方や毎日はできていない方などにステップアップの方法をお伝えして、毎日歯磨きが出来るようになるきっかけになればいいなと思っています。

では、実際にデンタルケアを導入していくための方法を順番にご紹介します。

①毎日口の中を触ることを習慣化する
そもそも、ワンちゃん・ネコちゃんは口の中を触られるのを嫌がります。
それを無理やり触りに行ってもますます嫌がられるばかりで関係性が悪化してしまいます。
この段階の子にオススメするのが、食事やオヤツ直前に口を触る方法です。
人間は食後に歯を磨くので、デンタルケアは食後というイメージを持たれている方が多いです。
しかし、ワンちゃん・ネコちゃんの場合は食前でも全く問題ありません。
頑張って口を触られたらご飯がもらえる、このように学習してくれるとデンタルケアの習慣化がとてもはかどります。

②デンタルケアグッズを使い始める
毎日口の中を触る習慣を作れたら、次はデンタルゲアグッズを導入します。
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上記のようなシートやジェルなど使いやすいものを選んで使用します。
ここで注意したいのが、乾いた製品で直接歯ぐきを擦るのは控えてください
歯茎に細かな炎症や傷をつける可能性があります。

③歯ブラシを使い始める
デンタルケアグッズの使用に慣れてきたら、いよいよ歯ブラシの導入を開始します。
色々な歯ブラシが販売されているのですが、必ずコレ!というものはありません。
僕が飼い主さんにアドバイスする点は次の2点です。
・なるべくヘッドが小さいものを使うこと
・毛先がひらいてきたら交換すること
特に小型犬やネコちゃんの口は小さいので、人間の乳児用歯ブラシや単歯用歯ブラシがオススメです。

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デンタルケア導入から歯ブラシ使用までのステップはこんな感じです。
また、歯磨きガムについての質問もよくお受けします。
色々な製品があって、それぞれ使用感は良いのですが、歯磨きガムはあくまでデンタルケアのサポートという位置付けです。
つまり、歯磨きガムを食べていれば歯磨きしなくても大丈夫、ではありません。
使い方としては、歯磨きができた後のご褒美として歯磨きガムを与える、という併用が理想的だと考えています。

いかがでしょうか。
今回は、デンタルケアについてお話しさせていただきました。
診察していて歯周病の遭遇頻度はかなり高いです。
人間と同様、歯周病は進行すると心臓や腎臓などにも影響を与える恐ろしい病気です

これを機に日頃のデンタルケアを始めてみてはいかがでしょうか。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。
今回はワンちゃん・ネコちゃんが食べてしまうと中毒症状を引き起こす食品について解説したいと思います。

犬・猫が中毒を引き起こす食べ物

人間の生活空間にはワンちゃん・ネコちゃんにとって様々な危険が潜んでいます。

特に、食品についてはあっという間に食べてしまったり、片付けておいても探し出して食べてしまったりという事故が後を断ちません。

本日ご紹介する食品は間違いなくどのご家庭にもあるものばかりなので、保管の方法や場所を見直す機会にしていただけると幸いです。

ねぎ類(玉ねぎ、長ねぎ、ニラ、にんにく)など

これはよく知られている食品ですね。

ワンちゃん・ネコちゃんが食べてしまうと、貧血・胃腸炎・赤血球の破壊(溶血という現象です)を引き起こす成分が含まれています。

症状は、元気がなくなる・筋力の低下・赤〜褐色の尿が出るなどです。

食べてすぐに症状が出るケースもあれば、数日経過してから症状が出ることもあるので注意が必要です。

また、この成分は熱で破壊されにくいため、加熱した食品あるいは玉ねぎの味噌汁などでも症状を引き起こしてしまうことも覚えておいてください

チョコレート、カフェイン

これも多くの飼い主さんがご存知だと思います。


ワンちゃん・ネコちゃんが食べてしまった場合、引き起こされる症状はチョコレートの種類・量によって様々です。

主に認められる症状は、嘔吐・下痢・腹痛・高体温・震え・不整脈・痙攣などです。

ミルクチョコレートなどに比べ、カカオ含有量の多いダークチョコレートなどで重篤化するケースが多いです
最近、カカオ含有量の多いチョコレートが流行っているので注意したいですね)。

また、カフェイン入りの飲み物も同様の症状を引き起こす可能性があります。

飲みかけの飲料をワンちゃんの届く範囲に置きっぱなしにしないように注意してください。

ぶどう、レーズンで中毒を起こす犬・猫もいる

これは食べて問題の無い子と、重度の腎障害を引き起こす子がいる不思議な食品です。

症状が出る場合、認められるのは嘔吐・下痢・食欲低下・脱水・尿量の一時増加、その後減少などです。

ぶどうやレーズンを食べてしまった後に、このような症状が出た場合は必ず受診してください。

適切な対症療法を行なわないと、慢性腎臓病になったり急性腎障害で死んでしまうケースもあります。

少量のアルコールも犬・猫には危険

お酒をそのまま飲むワンちゃん・ネコちゃんはまずいないと思いますが、飲料やシロップなどに含まれる少量のアルコールには注意が必要です。

症状は、嘔吐・見当識障害(自分が置かれている状況がわからなくなりパニックに陥ることです)・高体温・過剰なパンティング(口を開けて息が荒い状態です)・震え・痙攣などがあります。

このような症状を認めた場合、対症療法を行ない症状が消失するまでは治療する必要があります。

実は危険!?キシリトールによる犬・猫の中毒

ガムやキャンディ、デンタルケア用品に使われる人工甘味料で、どのご家庭にもあるかと思います。


実はこのキシリトール、とても危険です

ワンちゃん・ネコちゃんが食べてしまうと致死的な低血糖や肝障害を引き起こします。

症状は、嘔吐・痙攣・運動失調などがあります。

注意したいのが中毒を引き起こす摂取量で、小型犬だとキシリトールガム1個で中毒症状を起こす可能性があります

ご家庭で起こる事故として恐ろしいのは、キシリトールガムのボトルを置いているとワンちゃんが齧って中身を食べてしまうケースです。

万が一キシリトール入りの食品を食べてしまった場合は速やかに受診してください。

生のパン生地は犬・猫が摂食後膨張し危険

これは厳密に言うと中毒を引き起こすわけではありませんが注意していただきたい食品です。

パン生地には酵母が含まれており発酵して膨らみます。

食べてしまった場合、胃の中で膨張し胃拡張や腸閉塞等を引き起こす可能性があります。

中毒・閉塞に注意!アボカド

2つの意味で注意したい食品です。

まず、アボカドの可食部を食べてしまった場合、嘔吐・下痢・呼吸困難・痙攣を引き起こす場合があります。

また、中毒症状が発生しなくても脂質が豊富な食品なので吸収不良を引き起こし下痢をすることがあります。

そしてもう1つは種の誤食です。

アボカドの種を丸呑みしてしまうと食道や消化管で閉塞する可能性があります。

骨の誤食は犬・猫の緊急手術に至る場合も

これも中毒を引き起こす食品ではありませんが、誤って食べてしまうと危険です。


骨つきの肉や大きな魚の骨は飲み込んでしまうと食道や胃を傷つける可能性があります。

場合によっては胃や腸を突き抜けてしまい緊急手術が必要なこともあるので要注意です。

特に、ゴミ箱に捨ててあるものを漁って食べてしまうケースを多いようです。

捨てておいてもワンちゃん・ネコちゃんの届く範囲に置いておくのは危険です。

 

いかがでしょうか。

今回取り上げたもの以外にも中毒を起こす食品や危険な食品は存在します。

僕は、原則としてヒトの食べ物をワンちゃん・ネコちゃんに与えないことを強くおすすめします

ただし、ゴミ箱を漁ったり、ふとした拍子に食べてしまう事故はあり得ます。
食べてしまったことが分かったら速やかに受診してください。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。
本日は異物誤食についてお話しさせていただきます。

「うちの子が〇〇を食べてしまったんです!」
こんなお電話をいただくことが多いです。
ワンちゃん、ネコちゃん問わず、異物あるいは中毒性のある食品の誤食は日常生活のどこで発生しても不思議ではありません。
にもかかわらず、生命の危機に直結する場合が多いので注意が必要です。
そこで、本日は異物誤食として報告が多いもの、僕が経験したもので驚いたものをピックアップしてお伝えしてみようと思います。

【布製品、フェルトの切れ端】
最もポピュラーで遭遇機会が多いです。
布製のおもちゃで遊んでいて一部がちぎれたことで誤食してしまった。
靴下や小さなタオルが落ちていて、誤って丸呑みしてしまった。
そして、最近急速に増えているのがマスク(道端によく落ちています)の誤食です!

【プラスチック製のボール、オモチャの欠片】
これも遭遇する機会が多いです。
丸呑みは出来ないサイズのボールやおもちゃでも、使用しているうちに破損し小さくなることで飲み込めるようになってしまいます。
特に、おもちゃに歯を立てて遊ぶ子で発生が多い印象を受けます。

【金属製のアクセサリー】
特に指輪やピアスなどの小さなアクセサリーは、小型犬でも丸呑みできてしまうので要注意です。
レントゲンに映る金属だと、他のものに比べて詳細に形が分かるので衝撃的です。

【フードやオヤツの外袋】
保存しているフードの袋を食い破って盗み食いした際に外袋ごと食べてしまったケース。
あるいは、チュールのようなオヤツを与える際に勢いよく食いつき、外袋ごと飲み込んでしまったケースなどがあります。

【針付き釣り糸】
これは猫で多いです。
釣り用のテグスはしなりがあって猫が好むような糸なのですが、遊んでいるうちに飲み込んでしまうことがあります。
さらに、そこに針がついているケースでは食道や胃に針が引っかかり重篤化してしまう場合もあります。
釣りが趣味で、釣り用品をご自宅に置いてらっしゃる方は要注意です。

【冷却シート】
これは僕が驚いたケースです。
ヒト用のおでこに貼る冷却シートを丸呑みしてしまった子がいました。
中型犬以上ならあり得るかも、と考えていたのですがその子は超小型犬でした。
口のサイズからして、丸呑みは困難と思っていたのですが、実際に吐かせる処置を実施すると、綺麗にそのままの形でシートが出てきました。
未だにどうやって飲み込んだのか謎なのですが、これは無理でしょというものでも飲み込むことがあると勉強になったケースでした。

いかがでしょうか。
今回取り上げたもの以外でも、何故こんなものを飲んだ?というケースが数多くあります。
基本的にワンちゃん・ネコちゃんの生活圏内には誤食の可能性があるものを置かないようにしていただき、万が一誤食してしまった場合は速やかにご連絡ください。

食べてはいけない中毒性のある食品は別の機会に解説しますので、そちらも合わせて参考にしてみてください。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。
今回は理解しにくい用語カタカナ編をお話しさせていただきます。
前回、漢字編についてお話ししましたので、そちらも合わせて参考にしてください。
それでは早速例を挙げて解説していきましょう。

インフォームドコンセント
日本語では、「説明と同意」と表現されます。
獣医師から病気あるいは治療についての説明を受け、飼い主さんが十分に理解し納得した上で同意を得ることを指します。

セカンドオピニオン
現在治療している病気についてあるいはその治療方法について、現在かかっている獣医師とは別の獣医師の意見を聞くことです。
具体的には次のようなケースが考えられます。
治療方法として手術を提案されたが他に方法はないのか知りたい
長期間同じ薬や処置を継続しているが改善する様子がなく、診断や治療方法が正しいのか知りたい
セカンドオピニオンは飼い主さんが持つ当然の権利なので、ご希望される時ははっきりと主治医に申し出てください。

エビデンス
病気を診断するあるいは治療を行う上での根拠のことです。
主に研究報告のデザインによってエビデンスレベルが決められており、原則的にはエビデンスレベルの強い治療が推奨されます。
ただし、例外ももちろん存在するので症例ごとに判断する必要があります。
(エビデンスに関しては別の記事に詳細に記してありますので合わせてご参照ください)

QOL
生活の質あるいは人生の質と訳されます。
人によって抱くイメージがことなりますが、僕は次のように考えています。
「QOLが保たれた生活とは、自分の意思で自分がしたいことを自分がしたいタイミングでできる生活である」
(こちらも詳しくは別の記事で記していますので参考にしてみてください)

ターミナルケア
終末期医療と訳されます。
病気が進行し最期の時を迎える子達が抱える痛みや苦しみを緩和し、少しでもQOLを保った生活が送れる時間を長くしてあげるためのケアです。
ターミナルケアには僕たち獣医師が行なう治療的側面と、飼い主さんにやっていただくケア的側面が存在し、何をどのように組み合わせてやることがその子にとって最良なのかを相談しながら決めていきます。

バイタルサイン
心拍数、呼吸数、体温、血圧、意識レベルのことを指します。
これらが正常値から逸脱していないか、あるいはいつもと比べて数値に変動がないか等をみることでその子の状態を判断します。

ウイルス
生きた宿主の細胞内で増殖する小さな病原体のことです。
用語自体は聞いたことがある方が大半なのですが、細菌との区別がついていないことが多いです。
「風邪の菌が〜」
「インフルエンザ菌が〜〜」
こんな会話を耳にします。
両方とも病原体であるのですが、細菌の治療には適切な抗生剤を使用し一方、ウイルスの治療には抗生剤は使用しません。
細かな違いのように見えるのですが、治療方法が全く異なるのでぜひ覚えておいてください。

今回は理解しにくい用語カタカナ編をお話ししました。
今回紹介したもの以外にも、普段診察や説明を受けている際にわかりにくい表現があればぜひ質問してみてください。

文責:獣医師 小川

みなさま、こんにちは。
本日は、普段僕たちが使う医療用語のうち、飼い主さんが理解しにくい又はイメージしにくいものの解説をさせていただきます。
第1弾として、理解しにくい用語〜漢字編〜を行ないます。

僕たち獣医師は、飼い主さんに病気や治療の説明をする際、可能な限り分かりやすいようにお話をするよう心がけています。
しかし、ふとした拍子に普段飼い主さんが聞き慣れないような言葉を使ってしまうことがあります(僕も多々あります、ごめんなさい・・・)。
これをやってしまうと、多くの飼い主さんは診察室を出てからこうなります。
「先生、説明する時に〇〇って言ってたけど、どういう意味なんだろう?」

最悪ですね

僕たちの仕事はもちろん、病気を診断して治療することです。
ただし、それには飼い主さんが病気と治療の意味を理解する、ということがとても重要になってきます。
にもかかわらず、獣医師は伝えた気になっているが飼い主さんにはきちんと伝わっていない、こんな状況が簡単に発生してしまうのです。
これでは良好な治療が出来ないですし、とくに治療が長期化する病気だと飼い主さんのモチベーションが保てなくなる可能性があります。

そこで今回は、僕たちが普段使う用語で、飼い主さんがイメージしにくいと考えられるものをピックアップして解説してみたいと思います。

寛解:かんかい
病気の症状が一時的に軽くなる、あるいは消失している状態。
あくまでも一時的に症状が無くなっているだけなので、完全に治っているわけではないことに注意。
再発する可能性もあるので定期的な検査が必要。

浸潤:しんじゅん
炎症細胞や腫瘍細胞が周りに広がっていくこと。
水が浸み込むように、周囲に連続性を持って広がっていくイメージ。
似た言葉に『転移』があるが、こちらは腫瘍細胞が連続性を持たない他の臓器に広がることを意味するので使い分けに注意。
イメージは、「浸潤」が周りに腫瘍細胞が染み込んでいく、「転移」が腫瘍細胞が飛び火して離れた臓器に広がる、こんな感じです。

誤嚥:ごえん
ものを食べたり飲んだりする時に飲食物が食道ではなく気管に入ってしまうこと。
期間に飲食物が入ると、体はそれを押し戻そうとして激しく咳き込みます。
また、寝たきりの子の場合、嘔吐物が気管に入ってしまうことで誤嚥を引き起こすこともあるので注意したいです。

生検:せいけん
病変の一部を針やハサミ、メスなどを用いて採取し、顕微鏡などで観察する検査です。
実施する際は鎮静や麻酔が必要な場合もあります。
正確な診断を得るために必要な検査で、結果がでるまでに数日〜数週間かかります。

化学療法:かがくりょうほう
薬を使って行なうがんの治療法のことです。
注射、内服など様々な方法で薬を投与し、体の中で増殖しているがん細胞を壊したり増殖を抑えたりします。

頓服:とんぷく
症状が出ている時あるいは強い時にのみ薬を飲む、という投与方法です。
この飲み方で症状がコントロールできない場合は、1日〇〇回飲むという投与方法に変更する可能性があります。

対症療法:たいしょうりょうほう
病気の原因を取り除くのではなく、病気によって生じている痛みや苦しみを和らげる又はなくす治療方法です。
病気の原因は存在し続けるので、対症療法の効果はあくまで一時的であることに注意する必要があります。

有害事象:ゆうがいじしょう
医薬品の使用により生じる全ての好ましくない有害な反応のことです。
有害事象には薬の作用との因果関係は関係ありません。
これと混同しやすいのが「副作用」という言葉です。
副作用は、薬の使用によって生じた反応のうち狙っていた作用(これを主作用と言います)以外の全ての作用のことを指します。
副作用は薬の使用との因果関係があり、必ずしも全てが好ましくない作用ではない点が有害事象との違いです。


有害事象:ステロイドの使用により糖尿病を発症
副作用:ステロイドの使用により低下していた食欲が意図せず上昇
こんな感じです。

既往歴:きおうれき
これまでに罹ったことのある病気や実施した手術などの記録のことです。
これから治療する病気の治療方法の選択や、現在抱えている病気を診断するための重要な材料になります。

予後:よご
今後の病状についての見通しのことです。
病気の進行度合い、治療の効果、生存できる確率などの意味を含んだ言葉です。

合併症:がっぺいしょう
ある病気が原因で生じる別の病気のことです。


糖尿病の合併症で白内障が発生

一般状態:いっぱんじょうたい
全身状態とも呼ばれ、患者の全般的な健康状態のことを意味します。
身長、体重、体格などの測定値や心拍数、呼吸数、体温、血圧などのバイタルサイン、あるいは五感を通して得られる所見をもとに判断します。

いかがでしょうか。
今回取り上げた用語以外にもイメージがしにくいものはたくさんあります。
これらの用語をなるべく伝わる形でお話しするのが僕たちの課題ですね。

今回は理解しにくい用語のうち漢字編をお話ししました。
また、別の機会でカタカナ編も行なう予定ですので、ぜひ参考にしてください。

文責:獣医師 小川